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相続放棄を考えているのに遺品や預金に手をつけると危険|単純承認とみなされるケース

〇この記事を読むのに必要な時間は約6分0秒です。

 

はじめに

亡くなった父に借金があったようなので相続放棄を検討している。
ただ、部屋を片付けないと大家さんに迷惑がかかるし、当面の支払いもある。
そう考えて遺品を整理したり、口座からお金を引き出したりしてしまう方がいます。

しかし、相続財産に手をつける行為は、相続を承認したとみなされ、その後は相続放棄ができなくなるおそれがあります。

本記事では、相続を中心に取り扱う弁護士法人リブラ共同法律事務所の弁護士が、単純承認とみなされやすい行為と、放棄を考えている段階で注意すべき点を解説します。

 

単純承認とみなされるとどうなるか

相続放棄をすれば、はじめから相続人でなかったものとして扱われ、借金を引き継ぐこともありません。

しかし民法は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときなどには、単純承認をしたものとみなすと定めています(民法第921条)。

いったん単純承認とみなされると、後から相続放棄を申し立てても受理されない、あるいは債権者から争われる可能性があります。
借金の有無がはっきりしないうちは、財産に触れないことが原則です。

 

危険性が高い行為

✅預貯金の解約や払戻し

亡くなった方の口座からお金を引き出し、自身の生活費や支払いに充てる行為は、単純承認とみなされる「処分」にあたると評価されやすい典型例です。

✅不動産や自動車の名義変更・売却

相続を前提として自己に名義を移す手続きであるため、相続を単純承認する意思があったと評価されやすい行為です。

✅高価な遺品の売却や持ち帰り

貴金属、美術品、ブランド品などを換金したり自分のものにしたりする行為も同様、相続を単純承認する意思があったと評価されやすい行為です。

✅賃貸物件の解約と家財の処分

賃貸物件を解約したり、家財を処分したりする行為も「処分」と評価されやすい行為です。
大家さんから退去を迫られると、家財をまとめて処分してしまい、後から問題になることがあります。
大家さんには事情を説明し、判断が固まるまで待ってもらえないか相談することをおすすめします。

✅相続財産からの債務の支払い

亡くなった方の預貯金を使って亡くなった方の借金や未払金を支払う行為も、「処分」と評価されるおそれがあります。
亡くなった病院に未払金がある場合には、亡くなった方の預貯金や現金から支払うのではなく、自身の財産から支払うのが無難です。

 

判断が分かれやすい行為

✅葬儀費用の支出

社会通念上相当な範囲の葬儀費用を相続財産から支出した場合、処分にあたらないと判断された例があります。

ただし、規模が過大であれば争われる余地があります。

✅形見分け

経済的価値のほとんどない衣類や写真を引き取る程度であれば、問題になりにくいと考えられています。

一方、価値のある品を持ち帰れば処分と評価されかねません。

いずれも線引きが微妙です。
判断に迷う場面では、手をつける前に確認することが安全です。

 

放棄した後にも残る義務

相続放棄をすれば財産を引き継ぐことはありませんが、現に住んでいた家などを占有している場合には、次に管理すべき人へ引き渡すまで、その財産を適切に保存する義務が残ります。

放棄すれば直ちにすべての関わりが終わるわけではない点も、あわせて理解しておく必要があります。

 

期限が迫っている場合の対応

相続放棄には、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月という期間が定められています。

財産や借金の全容が把握できない場合には、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てる方法があります。
**間に合わないと感じたら、放置せず先に期間伸長の手続きを検討することをおすすめします。
**

 

弁護士に相談するメリット

すでに何らかの行為をしてしまった場合でも、その内容や目的によっては単純承認にあたらないと説明できることがあります。
自己判断であきらめる前に、経緯を整理して確認することが大切です。

また、相続放棄をすると次の順位の親族が相続人になります。
自分が放棄したことで、疎遠なきょうだいや甥姪に借金の問題が移ることもあるため、誰に、どの順番で影響が及ぶかを見通したうえで進める必要があります。

弁護士に相談すれば、財産と債務の調査、放棄すべきかどうかの判断、期間の伸長を含めた手続きの選択まで、一連の流れを踏まえて進められます。

 

まとめ

相続放棄を検討している段階では、預貯金の引き出しや遺品の処分が思わぬ結果を招きます。
片付けや支払いを急ぎたくなる場面こそ、いったん立ち止まることが重要です。

判断に迷うことがあれば、独断で進める前にご相談ください。

 


 

札幌・東京で相続放棄にお困りなら弁護士法人リブラ共同法律事務所へ

弁護士法人リブラ共同法律事務所は、札幌(札幌駅前・新札幌)・東京(吉祥寺)を拠点に、相続を中心に取り扱う法律事務所です。相続・遺産分割の相談累計件数は1700件を超え、相続に強い弁護士9名による相続チームが、複雑な事案や紛争性の高い案件も含めて、依頼者様一人ひとりに寄り添った解決をサポートしています。

 

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監修者情報

菅原仁人 弁護士 顔写真

菅原 仁人(すがわら まさと)

弁護士法人リブラ共同法律事務所 代表社員弁護士|弁護士登録番号:40280

注力分野:遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成、離婚

相続は、争う相手が見知らぬ他人ではなく、兄弟・親族であることが多く、法律問題であると同時に、大きな心理的負担を伴うものです。私は、依頼者の方が安心して手続きを進められること、そして納得のいく解決を実現することを何より大切にしています。相続についてお悩みやご不安がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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