お電話でのお問い合わせ

寄与分の要件:「介護したから相続分を増やしてほしい!」という主張は認められるか

この記事を読むのに必要な時間は約11分32秒です。
 

遺産分割協議のご相談の中で、
「親と同居していたきょうだいが、親を介護していたことを理由に遺産を多くもらうと主張している」
…といったお話をうかがうことがあります。

こうした相続人の主張は、法律的には「寄与分」の考え方によるものといえます。
民法に定められている寄与分とは、共同相続人のうち一部が被相続人に対して行った特別の寄与行為を金銭的に評価する制度で、寄与分が認められた相続人はその分だけ他の相続人より財産を多く相続することが出来る、というものです。

ですが、寄与分が認められるにはいくつかの要件があることをご存知でしょうか。
実のところ、被相続人を介護してきた方がそれを良く知らないまま過大な主張をされており、そのために遺産分割協議が進まなくなっている…というケースも少なくありません。

そこで、本記事では多数の相続問題を取り扱ってきた弁護士法人リブラ共同法律事務所の弁護士が、寄与分の要件や計算方法について、寄与分を主張された側の相続人の視点からご説明いたします。

 

1「親を介護していた」ことが寄与行為となる要件

被相続人の生前に介護していたことが寄与行為に該当しなければ、法律上、相続分への加算が認められることはありません。
相続人が被相続人のためにしたある行為が寄与行為といえるための要件は、以下の通りです。

①相続人が自らした行為ものであること
②行った行為が「特別の」寄与であること
③被相続人の財産が維持又は増加したこと
④財産の維持又は増加が相続人の行為によるものであること(因果関係)

 

①相続人自らの行為

介護を理由に寄与分を主張するには、相続人自らが被相続人の介護をしていたことが必要であり、介護事業者によるサービス費用を負担していた程度の場合ではこの要件を充たさないことになります。

もっとも、金銭の支出もその金額、目的、頻度等により別個の寄与行為に該当する可能性はあります。

 

②特別の寄与

民法が「特別の寄与」のみを相続分への加算の対象としているのは、相続人の行為が通常期待される程度を超える貢献であることを要求していることの表れです。

つまり、被相続人の介護が問題となる場合においても、全てのケースで寄与分が認められるわけではないということです。
介護が「特別の寄与」といえるかどうかの判断要素として、一般的には以下のものが挙げられます。

 

■被相続人との身分関係

例えば、同居する親が高齢になれば、ある程度の面倒を見ることは子が負っている法律上の扶養義務の範囲内といえます。
被相続人に必要とされていた介護の程度なども考慮されますが、「食事の世話をしていた」「通院の際の送り迎えをしていた」といった、親子間では当然なされる程度の行為であれば、通常期待される程度の貢献とはいえないでしょう。

 

■報酬が発生していないこと(無償性)

介護に対して、例えば謝礼や小遣いという名目で、すでに正当な対価や十分な利益を得ていたのであれば相続においてさらに特別に寄与分を認める必要はないとされています。

もっとも、親と同居して介護しているケースでは、親の年金で生活費が浮いていたり、親の持ち家に住むことで家賃が浮いていたりすることがあります。
こうした場合も厳密には無償と言い難いのですが、行っていた介護の程度と比較衡量し、これらの対価に釣り合う以上の介護をしていたといえるときは、通常期待される程度を超えた貢献であることを認めうる要素にもなります。

 

■相当期間継続して行われていること(継続性)

介護をしていた期間が具体的にどれくらい長期にわたっていれば「特別な寄与」であることを認めるに足りるかは決まった基準があるわけではありませんが、身分関係、無償性、専従性といった他の要素と組み合わせて総合的に判断されます。

 

■片手間で行っていないこと(専従性)

介護にどのくらい掛かりきりだったのか、という点も「特別な寄与」についての重要な判断材料で、片手間で行われた程度であれば、この専従性は認められません。
例えば、介護のために仕事を辞めざるを得なかったなど、当該相続人の経済行為がある程度犠牲になったと評価されるような事情の有無が検討されます。

 

③遺産が維持又は増加したこと

相続分の増加という寄与分の法的効果に見合った、遺産の維持・増加という財産上の効果発生をいいます。
相続人自ら親の介護をしていたケースでは、外部の介護サービスを利用することによる経費をかけなかったことで親の財産が維持されたということでこの要件が充たされることが一般的です。

 

④遺産の維持又は増加が相続人の行為によるものであること(因果関係)

上記の財産の維持・増加の要件で述べたように、相続人が介護にあたることで介護サービス費用が浮いたという場合には、通常、行為と財産上の効果発生との因果関係は認められるでしょう。

寄与分を求められた相続人としては、以上の要件が充たされていないことを、具体的事実に即して主張していくことになります。

 

2 親の介護に対する寄与分の算定

寄与分が認められた際には、相続分に反映させるためにその寄与分を金銭的に評価する必要があります。
このとき、後から揉めないようになるべく客観的な数字を用いることが大切です。
具体的な計算式には様々な考え方がありますが、親の介護をしていた相続人に寄与分を認めるケースでは、一般的に

(報酬単価)×(介護に従事した日数)×(裁量割合)で計算されます。

 

報酬単価は介護報酬基準で算出されることが多いです。
介護報酬は提供される各介護サービスの対価として介護事業者に支払われる費用をいい、厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聞いて定められるものです。

もっとも、介護報酬はあくまで有資格者への報酬として定められているもので、親と同居し生計を同一にしているケースや扶養義務のあるケースにおける寄与者への対価としてそのまま使うのが必ずしも適当とはいえません。

そこで、裁量割合による調整が行われ、通常は70パーセント程度に設定されます。

 

3 寄与分の主張権者の実質的拡大~特別寄与料制度

ここまで述べてきた寄与分を主張できるのは、原則として「共同相続人」、すなわち被相続人の配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹のみに限定されています(民法第904条の2第1項)。

ですが、被相続人と息子夫妻が同居しており、相続人である息子ではなくその妻が被相続人の生前に「特別の寄与」に相当する介護を行っていたというケースで、子の配偶者が相続人ではないことを理由に法的に寄与分が評価されないという問題が頻発していました(裁判例では、「相続人である子と一体とみて相続人の寄与分として認める」という判断がされていましたが、実際に認められるには高いハードルがあったと言わざるを得ませんでした)。

 

そこで民法が改正され、令和元年7月1日以降に開始した相続につき、相続人以外の親族からの特別寄与料の請求が新設されました(民法第1050条)。
これにより、寄与分の主張権者が事実上「6親等内の血族、3親等内の姻族」まで拡大されました。

もっとも、これらの親族が相続人ではないことには変わりありませんので、主張できるのは「特別の寄与」に見合った金銭の請求にとどまり、遺産分割協議自体に参加できるようになるわけではありません。

 

また、特別寄与料について協議が調わなければ当該親族は家庭裁判所に調停や審判を申し立てることが出来ますが、申立てには相続開始および相続人を知ってから6か月、または相続開始から1年、という期間制限があります。

被相続人の介護をしていた親族から特別寄与料を請求された相続人側の対応としては、相続人から寄与分を主張された場合と同様に、親族のしていた介護が上述の寄与行為の要件を充たすかどうか、また寄与行為にあたるとして金銭的にどのように評価するかを検討のうえ、協議に臨むこととなります。

 

4寄与分を主張されたら弁護士法人リブラ共同法律事務所にご相談ください

被相続人を生前介護していた親族の方からすれば、「相続において考慮してほしい」「兄弟姉妹たちと同じ割合での相続は納得できない」…などと考えることも自然といえます。

ですが、過大な請求に応じる必要はありませんし、中には相手に対して「親元を離れた自分と違い、親が元気なうちから同居していて経済的な苦労はしていなかったはずだ」…など、請求を受けた側の方も積もり積もった不公平感を抱いておられる場合もあり、当事者間での協議では感情的な対立に陥りがちです。

このように、話し合いが中々進まないようなケースでは、第三者として交渉のプロである弁護士にご依頼されることをお勧めいたします。

 

当事務所では、日々多数の相続問題のご相談・ご依頼をいただいております。
寄与分や特別寄与料を巡る協議においても、多くの問題を解決してきた知識や経験をもとに相手方の反論や調停での見通しを考慮した協議を進め、介護を理由に寄与分を主張する方の過大な請求に対しても冷静に対応することが可能です。

また、話し合いが上手くいかず家庭裁判所での調停・審判にもつれ込んでも、ご依頼者様の代理人として法的根拠に基づいた主張や証拠収集が出来るよう、ご依頼者様をサポートいたします。

寄与分や特別寄与料を主張されてお困りの方は、多数の相続問題を解決してきた弁護士法人リブラ共同法律事務所へぜひご相談ください。

 


札幌・東京で遺産分割にお困りなら弁護士法人リブラ共同法律事務所へ

弁護士法人リブラ共同法律事務所は、札幌(札幌駅前・新札幌)・東京(吉祥寺)を拠点に、相続を中心に取り扱う法律事務所です。相続・遺産分割の相談累計件数は1700件を超え相続に強い弁護士9名による相続チームが、複雑な事案や紛争性の高い案件も含めて、依頼者様一人ひとりに寄り添った解決をサポートしています。

 

相続・遺産分割の相談累計1700件超の豊富な解決実績

相続を中心に取り扱う弁護士9名による相続チームが万全のサポートを提供

✅ 札幌(札幌駅前・新札幌)・東京(吉祥寺)での対面相談に対応、オンライン相談も可能

✅ 遺産分割・遺留分・相続放棄・家族信託・財産使い込みなど、相続全般に幅広く対応

初回50分の無料相談、365日ご予約受付

 

札幌・東京で遺産分割についてお困りの方は、弁護士法人リブラ共同法律事務所までお気軽にご相談ください。

監修者情報

菅原仁人 弁護士 顔写真

菅原 仁人(すがわら まさと)

弁護士法人リブラ共同法律事務所 代表社員弁護士|弁護士登録番号:40280

注力分野:遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成、離婚

相続は、争う相手が見知らぬ他人ではなく、兄弟・親族であることが多く、法律問題であると同時に、大きな心理的負担を伴うものです。私は、依頼者の方が安心して手続きを進められること、そして納得のいく解決を実現することを何より大切にしています。相続についてお悩みやご不安がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

弁護士紹介ページへ →

相続Q&Aの最新記事

下記のような遺産相続トラブルでお困りではありませんか?

相続財産の分け方で困っている
「親族が揉めていて話し合いが進まない」
「相続財産で争いたくない」 このような方はこちらをクリック
最低限の相続分がもらえない
「親の財産を相続できない」
「遺言に自分の相続分が書いていない」 このような方はこちらをクリック
預金を使い込まれた方
「相続財産を使い込まれてしまった」
「通帳に不審な出金が記帳されている」 このような方はこちらをクリック
相続財産に不動産が含まれている方
「不動産の評価方法で揉めている」
「不動産の分割について話がまとまらない」 このような方はこちらをクリック