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遺言の保管と執行

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遺言の保管について>>
遺言の執行について>>
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遺言の保管

遺言によって自らの意思を実現するためには、その遺言書を相続人に見つけてもらわなければなりません。発見してもらえなければ、せっかく作成した遺言は結局実現されることなくないものと扱われてしまうのです。

遺言者が亡くなった後に、相続人が遺言書をすぐに見つけられるような場所に保管する必要があります。

その一方で、隠されたり(隠匿といいます)、勝手に書き換えられたりする(変造といいます)心配の無いような場所に保管するべきでしょう。

しかし、身の回りでそのような場所を探すのは、結構大変なことです。
以下を参考に、保管場所をご検討ください。

遺言の保管場所について

公正証書遺言の場合 ・公正証書による遺言は、遺言書の原本が公証役場に保管されています。
・相続人には遺言書を作成してある公証役場の場所を伝えておきましょう。
・遺言者の生存中は、ご本人以外の方が公証役場を訪れて遺言書の内容を教えて欲しいと要求したり、閲覧を請求したりしても、公証人がこれに応じることはありませんので、遺言の秘密を保てます。もっともおすすめの方法といえます。
弁護士に頼む場合 ・遺言書作成を弁護士に依頼した場合、弁護士に保管を頼むという方法があります。

・相続人には保管を頼んだ弁護士の氏名や事務所名を伝えておきましょう。
・弁護士は法律により守秘義務を負っており、職務上知りえた事実を第三者に洩らすことは禁止されています。
・従って、遺言書の存在を秘密にしておくことも可能です。

第三者に頼む場合 ・遺言書を親族や知人に預けておくことも考えられます。
・しかし、法定相続人など遺産に利害関係のある方に預ける場合には、隠匿、改ざんの恐れがあり、逆に紛争の元となりかねませんので、なるべく遺産に何の利害関係がない、公正な第三者に保管してもらうようにしてください。
遺言で遺言執行者を定めた場合には、遺言執行者に預けておくのが適当です。・なお、相続法の改正により、自筆証書遺言の法務局による保管制度が創設されることになり、2020年7月1日に施行される予定です。法務局の保管制度を利用すれば、遺言の紛失、破棄、隠匿、改ざんのおそれを回避することができます。また、家庭裁判所における遺言書の検認が不要となります。

当事務所では遺言書の作成のサポート(内容についての提案等)に限らず、遺言の保管場所についてのアドバイスや保管業務、遺言執行のご依頼をいただくこともできます。

遺言書の作成から、遺言内容の実行(遺言執行)まで総合的にご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。

当事務所の遺言執行サポートについて>>

遺言書が見つかったら

遺言書が見つかったら、まず必要な作業を確認しましょう。

公正証書遺言は公証役場に保管されているので、相続開始後すぐに遺言を作成した人の意思を実現できます。

(なお、相続法の改正による施行される予定の法務局における遺言書の保管制度を利用した場合、公正証書遺言同様、家庭裁判所における検認は不要となります。)

もし、遺言書の作成を検討されるのであれば、公正証書遺言を作成すると、確実かつ検認といった相続人の負担なく遺言通りの内容を実現することができます。

公正証書遺言以外の遺言書を見つけたら、速やかに家庭裁判所で検認手続を行う必要があります。

遺言書の検認

家庭裁判所において、相続人の立会いのもと遺言書を開封し、検認します。検認とは、遺言書の形式や状態を調査して、その結果を検認調書という公文書にしてもらう手続です。

もっとも、検認は、遺言の有効・無効を判断するものではありません。

遺言を早く開封したい気持ちはわかりますが、検認をせずに勝手に開封してしまうと偽造・変造を疑われ、紛争の火種になってしまうばかりか、5万円以下の過料に処される場合があります。

開封せずに、まずは家庭裁判所に持っていき、検認をしてもらいましょう。

なお、前述の通り、相続法の改正による施行される予定の法務局における遺言書の保管制度を利用した場合、家庭裁判所における検認は不要です。

遺言書が2通以上見つかったら

もし、遺言書が2通以上見つかった場合は、効力は後の日付のものが優先されます。

日付は記載されているはずですが、開封することはできないので、見つかった遺言書はすべて家庭裁判所に持ち込むことになります。

遺言の執行

遺言の検認が終わると、いよいよ遺言に記載された内容を実現させることになります。

遺言書を実現するにはさまざまな手続があり、遺言ではそれを執行する者として遺言執行者を指定できます。

遺言執行者の人数には制限がなく、遺言の内容を実現すること自体が複雑になると予想されるときは、遺言執行者を複数名指定しておくことも可能です。

また、遺言で指定を受けた人が遺言執行者を辞退することも認められています。

遺言に指定がなかったときや、遺言執行者が辞任してしまい遺言執行者がいないときは、相続人や利害関係人が家庭裁判所に遺言執行者選任の請求をすることができます。

遺言執行者は誰がなってもかまいませんが、法律の知識を要するので、弁護士などの法律家に依頼するのが通常です。

遺言執行者は、選任を受けると早速遺言の執行にとりかかります。

遺言執行を弁護士に依頼しておくべき理由>>

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遺言の執行手順

1)遺言者の財産目録を作る

財産を証明する登記簿、権利書などをそろえて財産目録を作り、相続人に提示します。

2)相続人の相続割合、遺産の分配を実行する

遺言の内容に沿った相続割合の指定をして、実際に遺産を分配します。登記申請や債権の回収、債務の弁済をします。

3)相続財産の不法占有者がいれば明け渡しや移転の請求をする
4)受遺者に遺産を引き渡す

相続人以外に財産を遺贈したいという希望が遺言書にある場合は、その配分・指定にしたがって遺産を引き渡します。その際、所有権移転の登記申請も行います。

5)遺言に認知の記載があるときは認知の届出をする

認知の遺言があるときは、戸籍の届出をします。

6)遺言に相続人廃除や廃除の取消しの記載がある場合はそれらについて家庭裁判所に申し立てる

調査、執行内容は相続人に報告する義務がありますが、執行業務が終了するまでは自らの管理すべき財産を管理処分する権限を持っています。

遺言執行者が執行業務を終了したとき、相続人はそれに応じた報酬を遺言執行者に支払います。その報酬額は遺言でも指定できますが、家庭裁判所で定めることもできます。

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遺言執行手続を専門家に依頼するには?

遺言執行など複雑な手続の処理をまかせるなら、やはり専門知識をもった弁護士にその職務を依頼することが望ましいといえます。

弁護士へ自筆証書遺言を作成するときのアドバイスや、公正証書遺言の作成支援を依頼することもできます。

遺言作成をお考えの方へ>>

また、相続発生まで、遺言書の保管を任せる事もできます。

公正証書遺言を作成する際は、証人となることもできます。

あらかじめ弁護士に遺言の相談をしておくと、円滑な遺産相続の実現に役立ちます。

遺言執行者を弁護士に依頼しておくべき理由

遺言執行者は遺言の内容を実現する者であり、遺言を滞りなく執行することが任務です。

では、遺言執行者にはだれを指定しておくべきでしょうか。

もちろん、遺言執行者には親族や相続人を指定することもできます。親族等を遺言執行者に指定した場合、遺言執行者の報酬の取り決めをしなければ、費用面ではメリットがあるかもしれません。

しかし、弁護士などの法律家や信託銀行などに依頼した場合は遺言執行者報酬が発生しますが、円滑な執行、トラブルの防止という意味では、費用以上のメリットがあるといえます。

できる限り、遺言執行者は、遺言や相続に詳しい信頼できる専門家である弁護士に依頼しておかれることをおすすめします。

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1.煩雑な手続からの解放

遺言執行者は、就任してから業務の完了までに概ね次のような業務を行わなければなりません。

遺言執行者に就任したことを相続人全員に通知
戸籍謄本等を収集して相続人を確定
相続財産の調査をして財産目録を作成し、相続人に交付
法務局での各種登記申請手続
各金融機関での預貯金等の解約・払戻し手続
証券会社での株式等の名義変更・売却手続
その他の財産の換価手続
遺言の執行状況の報告と完了の業務報告
遺言執行の妨害をしている者がいる場合はその者の排除
必要な場合には、遺言執行に必要な訴訟行為。

これだけ見ても相当な業務量であり、育児や仕事を抱えた方にとっては、なかなかスムーズに進めることは難しいといえます。

金融機関や法務局は平日の日中しか対応してくれませんので、特に会社員の方はお仕事を休んで対応しなければならず、負担も大きいかと思います。

2.相続人間の対立の防止

これに加えて、遺言の内容に不満を抱えている相続人や執行が円滑に進まないことで不満を募らせる相続人からの非難を受けることもあり、せっかく遺言を作成して遺言執行者まで指定したのに、親族間での紛争に発展する可能性もあります。

「なぜ俺ではなく、お前が遺言執行者なんだ?!」
「本当にこれが遺産のすべてなのか?」
「早く手続きを進めろ。遅いぞ!」

など、ただでさえ負担が重い遺言執行業務を抱えながら、不満を抱える相続人との対応にも追われることになります。

また、逆に、遺言執行者である相続人が、自分が取得できる財産についてのみ名義変更等の手続をして、その他の相続人が取得する財産に関してはその相続分を引き渡さないなど、業務を放棄してしまう危険性も考えられます。

 

この点、相続手続に精通した弁護士に遺言執行者を依頼した場合には、相続人がストレスに感じる煩雑な業務から解放され、また執行手続も円滑に進み、結果として早期に財産を取得することができます。

また、公平な立場、専門家としての立場から遺言執行手続を進めることで、相続人間の不信感が生じることを防ぐことも可能です。

残された家族が紛争に巻き込まれないように遺言書を作成するのであれば、遺言執行者の指定についても、弁護士を指定しておくのが望ましいといえます。

また、内容が複雑な遺言、事業の承継を目的とし不公平な割合での相続を考えている場合、遺贈がある場合、廃除の希望がある場合など、相続人間でトラブルが生じる可能性のある遺言を作成する場合などは、法的紛争を扱うことのできる弁護士に遺言執行者への就任を依頼しておくことを検討すべきです。

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この記事の執筆者

弁護士法人リブラ共同法律事務所

代表弁護士 菅原 仁人

専門分野

相続、離婚など家事事件

経歴

中央大学法学部卒業後、平成21年に弁護士登録、札幌の法律事務所に入所。3年半の勤務を経て北海道リブラ法律事務所(現弁護士法人リブラ共同法律事務所)を設立。

札幌地域の離婚や相続など、家事事件を主に取り扱っている。現在は札幌市内2か所(札幌・新札幌)と東京1か所(吉祥寺)に拠点を構える弁護士法人の代表として活動している。

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