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相続財産に不動産が含まれている場合の問題点

この記事を読むのに必要な時間は約19分3秒です。
相続財産とひとことで言っても、財産の中にはいろいろなものがあります。
その中でも金額的に一番多いとされているものが土地・建物といった不動産です。

 

ですが、不動産の相続には、以下で述べるように、その性質上様々な問題がつきまといます。

 

当事務所で実際に相続のご相談をお受けしている中でも、

「不動産を含む財産を、相続人間でどのように分割すればよいのか話がまとまらない」

「不動産の評価方法で揉めている」

「不動産を売ったお金を分割したいが、相続人の一人が住みたいと言っている」

といったお悩みを耳にすることが多いです。

 

こちらでは、札幌市近郊で多くの相続手続に携わってきた弁護士が、

相続財産に不動産が含まれているときに起こる問題についてご説明いたします。

 

不動産の相続が問題になりやすい事例

(1)相続人が多数いるケース

一般的に、相続にあたっては、相続人の数が多くなるだけで話が複雑化し、

トラブルになるリスクが高くなるといえます。

ここで、さらに不動産が相続財産に含まれていると、

法定相続だけでは解決が難しく、分割方法がまとまらなくなってしまうことがほとんどです。

 

また、相続人調査をする中で、これまで家族の知らなかった相続人、

たとえば被相続人が認知していた子どもの存在が発覚したときや、

離婚した元配偶者との間の子が名乗り出てきたときには、

それまでの遺産分割協議が白紙に戻ってしまうこともあります。

 

このような事態を避けるためには、被相続人が生前に遺言書を作成しておくことが有効です。

例えば、親に再婚前の子がいる場合など、普段交流のない相続人がいるような場合には特に、

不動産については誰に取得させるかをあらかじめはっきりさせておいた方が良いでしょう。

 

もし、こうした相続人が多数いるケースですでに相続が発生していたら、

相続人全員の戸籍の収集や所在の調査が必要になってしまい、

協議に入る前から躓いてしまうおそれもあります。

 

また、それまで面識もなかったような相続人と連絡を取り合うことに対する煩わしさ、

意見が対立する相続人と話をするストレスを感じられる方も多くいらっしゃいます。

そんなときは、弁護士にご依頼いただければ相続人およびその所在の調査、

相続人との協議についても代行することが可能です。

 

(2)不動産の名義変更がなされていなかったケース

不動産の相続の場面ですと、例えば、

「父の死亡により相続が発生したため、父が住んでいた自宅建物の登記を確認してみると、

所有者が何十年も前に亡くなった祖父のままだった」というケースが散見されます。

 

この場合に相続手続を進めるには祖父の相続人関係から整理しなければならず、

戸籍謄本等の取得に時間と労力を割かれることになるほか、

相続手続に参加する相続人が増えることになるため、(

1)のケースと同様にトラブルが生じるリスクが高くなるといえます。

さらに、こういったケースでの相続人調査は、

改製前の古い戸籍から相続人を辿らないとならなくなったり、

上記の例でいえば父の兄弟姉妹が多人数であったりと、

不慣れな方にとってはすでに調査自体が困難な状況になっていることが多いです。

このように、先代の相続登記がなされていないままの不動産が

相続財産に含まれていた場合は相続手続を熟知した弁護士に

ご相談いただくことをお勧めいたします。

(3)相続した不動産を平等に分けたいと考えているケース

相続人同士で普段から交流があり円満な関係であっても、

相続財産に不動産が含まれていると、トラブルになるおそれがあります。

 

つまり、普段の関係が円満であるからこそ、

互いに損をしないようにと平等な分割を目指すあまり、

分割が難しい不動産が揉めごとのきっかけになってしまうことがあるのです。

 

不動産について平等な分割を目指すときには、

①換価分割、②現物分割、③共有分割、

といった方法が考えられます。

 

①換価分割

換価分割とは、当該不動産を売却して、売却金を相続人間で分割する方法です。

分割が容易な金銭に換えられる点で、最も問題解決に適した方法だといえるでしょう。

 

②現物分割

現物分割とは、相続する土地を分筆して、分筆後の土地を各相続人が所有する方法です。
一見、所有する面積を揃えることで平等に分割できると思えますが、分筆された土地の方位や形状、

接道部分の違いから、真の意味で同価値の分筆ができる物件はそうありませんし、

家が建っている土地だと、分筆は事実上困難です。

さらに、対象の土地が一般的な宅地程度の規模だと、分筆後の各土地の活用方法が見いだせず、

評価額が大幅に下がることにもなりかねません。

③共有分割

共有分割とは、不動産を共有持分とする分割方法です。

遺産分割の協議がなかなか進まないときに用いられがちな方法で、

表面上解決したように見えるのですが、決して望ましい解決方法とはいえません。

 

なぜなら、共有不動産については、その売却等の変更行為に際しては、

所有者全員の同意が必要になるため、共有者の関係が良好なうちはともかく、

一度意見が割れると事実上活用のできない不動産になってしまうからです。

 

また、所有者の一人が死亡し新たに相続が発生すると共有名義人がさらに増えていくことになり、

ますます処分が難しくなっていきます。

 

さらに、共有分割の方法を取ると、固定資産税の納付を巡るトラブルが生じることもあります。

つまり、共有不動産の固定資産税は、地方税法の規定により

共有者全員が連帯して納税義務を負うとされていることから、

地方自治体は納税通知書をそれぞれの所有者に送付することはせず、

共有名義人の代表者にのみ通知しています。

 

すると、代表者にとっては、納期が来る毎に

ほかの共有者から負担分を徴収する手間が生じることになります。

 

したがって、共有分割はいわば相続の問題を先送りにする行為となりかねないのです。

 

以上のとおり、終局的な解決を目指すなら換価分割をすべきですが、

具体的に話を進める中で、たとえば

「不動産をいくらと評価するかについて協議がまとまらない」、

「相続人の一人が思い入れのある実家を売却したくないと言っている」

と相続人間で足並みが揃わなくなることもよく見られます。

できるだけ円満に解決したいと考えている方こそ、

代理人を立てて冷静に話し合いに臨むことをお勧めします。

 

(4)不動産を相続すると不均衡が起こるケース

被相続人である親名義の家で同居していた相続人(子)がいるケースだと、

一般的には被相続人死亡後も引き続き子が居住することが多いです。

 

このとき、(3)のケースとは異なり、自宅の土地建物については

同居していた相続人が単独で相続することを強く希望することになるでしょう。

ですが、その自宅不動産に一定の価値があり、かつ自宅以外のめぼしい相続財産がない場合には、

他の相続人とのトラブルになりやすいといえます。

 

このように、不動産を相続人のうちの一人の所有とすべきケースでは、

不動産を相続した人が他の相続人に相応の現金(代償金)を支払う、

代償分割という方法を取ることが望ましいといえます。

不動産の評価額としては、代償分割時の時価が採用されることが多いです。

もっとも、代償分割は、不動産を取得する人に他の相続人に

代償金を支払えるだけの資力がなければ実行できない方法でもあります。

また、代償金の支払いに際しては、遺産分割協議書において金銭の譲渡が

代償分割によるものである旨を明記する必要があります。

この明記がないと、代償金を渡したことが贈与とみなされて、

贈与税を課されるおそれがあるためです。

なお、相続人間の同意があれば、不動産を代償金の代わりに渡すことも可能ですが、

その際も代償金の支払いに代えた旨を遺産分割協議書に記載しておかないと、

譲渡所得税を課される可能性があります。

 

めぼしい財産が被相続人の自宅しかないというケースは決して少なくありません。

そこで一人の相続人がその自宅を取得しようとすれば、

例えば兄弟間で「兄は親と実家で同居していて苦労していないのに、

弟である自分は家を出て自身の住宅ローンを払い続けてきた。

 

それなのに「相続でも兄が得をし、自分が得るものがないのは不公平だ」

といった不満が生じてくるのは想像に難くないと思います。

こうして話がこじれてしまわないよう、弁護士に交渉を依頼し、早期に解決を図ることをお勧めします。

 

(5)実家を相続できると誤解した相続人がいるケース

被相続人である親の世話や介護のために長年実家で同居してきた相続人(子)がいる場合や、

二世帯住宅を建てて親と同じ建物で暮らしてきた相続人(子)がいる場合だと、

親が亡くなれば自分が実家の土地不動産を相続できると誤解しているケースがあります。

 

ですが、相続人の一人が被相続人と一緒に暮らしていたとというだけでは、

その自宅不動産を当然に相続できるわけではありません。

被相続人への貢献を相続に反映させるには、寄与分の制度を利用しなければなりません。

 

寄与分とは、共同相続人の中で、被相続人の財産の維持、増加に特別の寄与をした相続人がいた場合に、

その相続人の相続分を増やして相続人間の公平を図る制度をいいます。

たとえば、被相続人である親と生前同居していた相続人(子)が無償で被相続人の介護をしていた場合は

同等の介護サービスを利用する費用分だけ被相続人の財産維持に貢献したといえ、寄与分が認められます。

ですが、そうした寄与分を受けることが出来る者(寄与分権者)にあたる相続人が

法定相続分を超えて被相続人の自宅不動産の相続を主張したところ、

他の相続人との寄与の程度に対する認識の食い違い等からトラブルになるおそれもあります。

 

なお、従来、寄与分を受けることが出来る者(寄与分権者)は相続人のみに限定されていましたが、

民法の改正によって、2020(令和元)年7月1日以降に開始した相続については、

法定相続人でない親族(配偶者のほか、六親等内の血族、三親等内の姻族)からも、

特別寄与料の請求が認められるようになりました。

 

特別寄与者は相続人ではないため遺産分割協議に参加できるわけではありませんが、

明らかに特別寄与者に該当する親族がいると認識できている場合には、

特別寄与料を織り込んで遺産分割協議を進めた方がよいでしょう。

 

長年、被相続人の介護をしてきた相続人や親族の立場からすれば、

「一切無関係で過ごしてきた兄弟姉妹と同額の財産を取得するのでは納得がいかない」

と考えられるのは自然なことといえます。

 

寄与分を巡るトラブルを避けるには、まずは被相続人が生前に、

介護してくれた人やその家族に感謝する気持ちを相続に反映させられるように、遺言書を作成することが有効です。

遺言書がないまま相続が開始してしまった場合に寄与分を反映した遺産分割を希望しても、

寄与分の評価方法については事案によって様々であり、協議で結論が出ないことも多いです。

もし協議がこじれてしまったら、家庭裁判所への調停申立て等、法的手続への移行も検討しなければなりません。

早期に解決を図るなら、弁護士にご相談ください。

 

(6)被相続人の配偶者が自宅に住み続けるケース

(5)で例に挙げたケースとは異なり、被相続人と同居していたのが子ではなく配偶者である場合にも、

やはり被相続人と一緒に暮らしていたというだけで、配偶者が自宅不動産を当然に相続できるわけではありません。

そのため、自宅に配偶者の法定相続分以上の価値があると、他の相続人とトラブルになる可能性があります。

さらに、近年の高齢化社会の加速状況に鑑みると、仮に被相続人の配偶者が自宅を取得できたとしても、

その他の現金・預金全てを他の相続人が相続することとなったり、

代償分割により代償金を支払う必要が出てきたりしたときには、

相続開始時に高齢になっている配偶者の生活費が確保できなくなってしまうといった問題も生じます。

 

こうした問題に対応するため、民法の改正によって、

2020(令和2)年4月1日以降に開始した相続について配偶者居住権という制度が新設されました。

配偶者居住権は、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物に対して、

終身または一定の期間、配偶者に無償での建物の使用を認めるものです。

こうした権利が認められるようになった結果、相続財産である居住建物の価値を、

「配偶者居住権の価値」と「配偶者居住権の負担付きの所有権の価値」

とに分けて考えることが出来るようになります。

 

配偶者には居住建物全体の価値のうち、「配偶者居住権の価値」分のみを相続させることで、

現金・預金といったほかの相続財産を取得する機会を増やすことが出来るようになるのです。

 

もっとも、配偶者居住権は遺言を残してもらうこと、または他の相続人との遺産分割手続を経ることで認められる権利です。

配偶者居住権の価格の評価・計算方法には複雑なところもあり、

遺言書がない場合の協議がこじれてしまう原因になりかねませんので、

被相続人名義の建物での居住を希望する配偶者が相続人に含まれている際には一度弁護士にご相談ください。

 

不動産の手続きについて

当事務所では、相続争いに至ってしまったケース以外にも、

相続した不動産に関する手続きの代行サポートを行っています。

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不動産相続のご相談は弁護士へ

被相続人がご存命の間は、

「親族の中で関係の悪い人はいないし、うちは相続トラブルとは無縁だ」

「遺言書がなくても法定相続分で分割すればいい」と考えている方も多いと思います。

しかし、相続が絡むと、故人の生前は良好だったように思えた親族間であっても、

積もり積もった不公平感が持ち出されて感情的になってしまう結果、

むしろ他人同士の紛争よりも話がこじれてしまった、ということは珍しくありません。

 

さらに、相続財産は現金のようにきれいに分割できるものだけとは限りません。

相続財産に不動産が含まれていると、相続人全員が納得する分割方法を見つけることが格段に難しくなり、

ここまで述べてきたようなトラブルが起こってくるリスクが高くなるのです。

 

弁護士法人リブラ共同法律事務所では、不動産を所有されている方の遺言書作成等の生前のご対策、

および相続開始後の相続人間の紛争のいずれについても多数の案件を取り扱ってきた実績がございます。

札幌市近郊で不動産の相続についてお悩みのある方は、弁護士法人リブラ共同法律事務所へぜひご相談ください。

 

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この記事の執筆者

弁護士法人リブラ共同法律事務所

代表弁護士 菅原 仁人

専門分野

相続、離婚など家事事件

経歴

中央大学法学部卒業後、平成21年に弁護士登録、札幌の法律事務所に入所。3年半の勤務を経て北海道リブラ法律事務所(現弁護士法人リブラ共同法律事務所)を設立。

札幌地域の離婚や相続など、家事事件を主に取り扱っている。現在は札幌市内2か所(札幌・新札幌)と東京1か所(吉祥寺)に拠点を構える弁護士法人の代表として活動している。

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