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代償金が払えないと言われた時の遺産分割の進め方

この記事を読むのに必要な時間は約7分35秒です。
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はじめに

遺産分割協議において、実家は長男が引き継ぐ、その代わり他の相続人には現金を支払う等、話し合いがまとまっていたと思いきや、具体的な金額が出た段階で「そんな金額は払えない」と言われ、協議が止まってしまうことがあります。
遺産の大半が不動産である場合に、よく起きる行き詰まりです。

ですが、代償金が払えないという事情は、遺産分割そのものを止める理由にはなりません

本記事では、相続を中心に取り扱う弁護士法人リブラ共同法律事務所の弁護士が、支払能力の確認方法と、代償分割が難しい場合に取りうる選択肢について解説します。

 

代償分割は支払能力が前提になる

✅代償分割とは
代償分割とは、相続人の一人が不動産などの現物を取得し、その代わりに他の相続人へ金銭を支払う分け方です。
相続人の一人がその家に住み続けたい、事業用の資産を分割したくないといった事情がある場合に選ばれます。
協議がまとまらず家庭裁判所の手続きに進んだ場合、裁判所が代償分割の方法を採用するには一定の要件が必要とされています。
その判断において、現物を取得する相続人に代償金の支払能力があることは重要な考慮要素です
そもそも代償金を支払うことが出来る支払能力を有しないのであれば、そのような遺産分割をまとめることは無益であるためです。

✅支払能力

そこで、不動産を取得したいと主張している相続人が、他の相続人に対し、代償金を支払うことができるのか預金額等で疎明する必要があります。
支払能力の裏付けが示せなければ代償分割は認められず、不動産を売却し、金銭に換える換価分割という方向へ進むことになります。
「実家を残したい」という希望を通すためにこそ、支払能力の説明が必要になるということです。

 

「払えない」と言われた時にまず確認すべきこと

✅本当に払えないのか、払いたくないのか

まず区別して考えなければいけない事情として、支払能力の不足なのか、交渉上の主張なのかという点があります。
これらを確かめるために、預貯金残高証明書の提示を求める、金融機関へ融資を打診した結果を確認する、取得予定の不動産を担保にできないか検討するといった方法があります。

不動産を取得できる以上、その不動産を担保に融資を受けられる場合は少なくありません。
資料の提示を求めた段階で、支払える見込みが出てくることもあります。

✅前提となる評価額は適正か
代償金の額は、不動産の評価額をいくらとするかで決まります。
評価の方法には固定資産税評価額、相続税評価額、不動産業者の査定、不動産鑑定などがあり、どの基準を採用するかで金額が大きく変わることがあります
「払えない」という主張の背景に、評価額が高すぎるという不満が隠れていることも珍しくありません。
複数の査定を取り、双方が納得できる評価の土台を作ることが、交渉を前に進める鍵になります。

 

代償金が払えない場合の選択肢

✅代償金の額そのものを見直す
評価額の再検討に加えて、預貯金など他の遺産の配分を調整すれば、代償金の負担を圧縮できます。
相続債務がある場合、その負担の割り振りによっても実質的な調整が可能です。

✅分割払いを認めたうえで担保を取る
一括では無理でも、分割であれば支払える場合があります。

ただし無担保の分割払いに応じると、途中で支払いが滞った際に回収が困難になるおそれがあります。
取得する不動産への抵当権の設定、強制執行認諾文言を付した公正証書の作成など、保全措置をセットで検討してください。

✅換価分割に切り替える
不動産を売却し、代金を分ける方法です。
誰も資金を用意する必要がなく金額も明確になるため、公平性の面で最も争いが起きにくい選択肢といえます。
不動産業者に対する仲介手数料等、売却に必要な諸経費は相続人間で分担する旨の合意するのが公平でしょう。

✅現物分割を再検討する
遺産に複数の不動産がある場合、それぞれを別の相続人が取得すれば、代償金の必要性自体がなくなります。

ただし土地を分筆する場合は、分割後の形状や接道条件によって価値が下がることがあるため、事前の確認が必要です。

✅共有分割は最後の手段と考える
持分割合に応じて共有のまま登記する方法です。
一見、争いなく公平ですが、次の世代でさらに相続が発生すると権利関係が複雑になり、売却も管理も困難になります
問題の先送りになりやすい点に注意が必要です。
相続人に複数の子供がいる場合、その持ち分がどんどん細分化してしまい権利関係を煩雑にしてしまうリスクがあります。

弁護士に相談するメリット

協議で合意できない場合は家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停でも合意に至らなければ審判へ移行します。
審判に移行すると、遺産である不動産に住み続けたいという希望が通らず、売却による分割が命じられることもあります。

そのため、希望する着地があるのであれば、協議や調停の段階で支払いの裏付けを整えておくことが重要です。
弁護士に相談すれば、支払能力の確認方法、評価額の妥当性、担保の取り方といった論点を整理したうえで、裁判所の判断に委ねる前に調整できる余地を探ることができます。

なお、相続税の納付が必要な事案では申告期限との関係も生じます。
税務面については、税理士と連携して別途確認することが大切です。
期限内にまとまりそうにない、という場合でも未分割で申告し、遺産分割協議後修正申告をすることで延滞税などは発生しません。

 

まとめ

代償金が払えないという事情は、遺産分割の行き詰まりではなく、分け方を組み替える出発点です。
評価額の見直し、他の遺産による調整、担保付きの分割払い、換価分割と、選択肢は複数あります。

大切なのは、感情的な対立に発展する前に、双方が受け入れられる現実的な着地点を設計することです。
協議が止まってしまっている場合は、早い段階でご相談ください。

 


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監修者情報

菅原仁人 弁護士 顔写真

菅原 仁人(すがわら まさと)

弁護士法人リブラ共同法律事務所 代表社員弁護士|弁護士登録番号:40280

注力分野:遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成、離婚

相続は、争う相手が見知らぬ他人ではなく、兄弟・親族であることが多く、法律問題であると同時に、大きな心理的負担を伴うものです。私は、依頼者の方が安心して手続きを進められること、そして納得のいく解決を実現することを何より大切にしています。相続についてお悩みやご不安がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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