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「争族」を防ぐ遺言書の書き方|遺留分・付言事項で家族の争いを未然に防ぐ

〇この記事を読むのに必要な時間は約6分46秒です。
 

はじめに

遺言書さえ残しておけば、家族が揉めることはない。
そう考えている方は多くいらっしゃいます。

ところが実際には、遺言書があったからこそ、
その内容を原因に争いが起きてしまうケースも少なくありません。
内容が一部の相続人に偏っていたり、なぜそう分けたのかが伝わらなかったりすると、かえって不信感を生むためです。

本記事では、相続を中心に取り扱う弁護士法人リブラ共同法律事務所の弁護士が、家族の争いを防ぐ遺言書の作り方について解説します。

 

遺言書があっても争いになる理由

✅遺留分を無視した配分になっている

兄弟姉妹以外の法定相続人には、最低限の取り分である遺留分が認められています。
これを下回る内容にすると、相続発生後に遺留分侵害額相当の金銭を請求され、争いに発展する可能性があります。

✅財産の記載に漏れがある

遺言書に記載されていない財産については、あらためて相続人全員で協議しなければなりません。
その協議の場で対立が生じ、遺言を残した意味が薄れてしまうことがあります。

✅形式の不備で無効になる

自筆証書遺言は、書き方の要件を満たしていなければ効力を持ちません。

特に、「自宅」というだけではどの不動産か特定することができず、法務局で相続登記手続きを受け付けてもらえない可能性があり注意が必要です。

✅分けた理由が説明されていない

結果だけが書かれていると、なぜ自分がもらえる財産が少ないのかという不満だけが残ります。

 

遺言書の種類をどう選ぶか

✅自筆証書遺言

自分で書けるため費用を抑えられます。
財産目録については一定の要件のもとパソコンでの作成も認められています。
法務局で保管してもらう制度を利用すれば、紛失や改ざんのリスクを減らせます。
相続発生後、遺言書の保管者(発見者)が亡くなった方の最後の住所地を管轄する裁判所に検認手続を申し立てる必要があります。

✅公正証書遺言

公証人が関与して作成するため、形式の不備で無効になる可能性が低く、原本が公証役場に保管されます。
自筆証書遺言と異なり、検認手続は不要です。
確実性を重視するのであれば、こちらを選ぶ方が安心です。

 

遺留分に配慮した配分にする

特定の相続人に多く残したい場合でも、他の相続人の遺留分を大きく下回る配分は避けるのが無難です。

不動産のように分けにくい財産を一人に集中させる場合は、生命保険を活用して他の相続人に渡す資金を用意しておき不公平感を解消するといった方法が考えられます。

どこまで配慮するかは、財産の構成と家族の状況によって変わります。

 

付言事項で理由を伝える

遺言書には、法的な効力を持たない「付言事項」として、自分の思いを書き添えることができます。

✅なぜこの分け方にしたのか

✅同居や介護をしてくれたことへの感謝

✅残された家族に仲良くしてほしいという願い

法的な効力はありませんが、納得感を生み、感情的な対立を和らげる効果が期待できます。
実務上、この一文があるかどうかで相続人の受け止め方が変わることは少なくありません。

 

遺言執行者を決めておく

遺言の内容を実現する役割を担うのが遺言執行者です。

指定しておけば、預貯金の解約や名義変更を執行者が進められるため、相続人が全員で手続きに関わる必要がなくなります。
相続人同士の接触を減らせる点でも、争いの予防につながります。

 

作成後の見直しも必要

財産の内容や家族関係は年月とともに変わります。
作成時には妥当だった配分が、数年後には実情に合わなくなることもあります。

遺言書を作成した後に、不動産を売却した、相続人が増えたといった変化があったときは、改めて遺言書の内容を見直すことをおすすめします。

なお、相続税がかかる規模の財産がある場合は、税務面の検討も欠かせません。
その点については税理士と連携して確認することが大切です。
小規模宅地等の特例を利用して相続税の負担を軽減させることも考えられます。

 

弁護士に相談するメリット

遺言書は、書き方そのものよりも、誰にどう分けるかの設計が結果を左右します。
弁護士に相談すれば、遺留分を踏まえた配分の検討、記載漏れを防ぐ条項の工夫、執行者の選定までを一体で進められます。

争いが起きてから対応するより、事前に整えておくほうが、家族の負担も費用も小さく済みます。

 

まとめ

遺言書は、作成すること自体が目的ではなく、相続発生後、家族が争わずに済む形に整えることが目的です。
遺留分への配慮、記載漏れの防止、そして付言事項による思いの共有が、その鍵になります。
遺言書を作成する際に、作成した方が認知症により判断能力が低下していたりすると「遺言書の有効性」が争われる可能性もあります。
ご自身の財産をどのように分配するか、迷われた際にはすぐに遺言書の作成にとりかかることをお勧めします。

ご自身の財産と家族の状況に合った内容にするために、作成前の段階でご相談ください。

 


 

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監修者情報

菅原仁人 弁護士 顔写真

菅原 仁人(すがわら まさと)

弁護士法人リブラ共同法律事務所 代表社員弁護士|弁護士登録番号:40280

注力分野:遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成、離婚

相続は、争う相手が見知らぬ他人ではなく、兄弟・親族であることが多く、法律問題であると同時に、大きな心理的負担を伴うものです。私は、依頼者の方が安心して手続きを進められること、そして納得のいく解決を実現することを何より大切にしています。相続についてお悩みやご不安がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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