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遺留分がもらえない場合の法的解決方法|請求手続きと時効の注意点

この記事を読むのに必要な時間は約8分38秒です。

はじめに

相続においては、被相続人の子供や配偶者など一定の相続人に対し、最低限の相続分として「遺留分」が法的に保障されています。

✅「遺留分」とは

遺留分の割合は、民法で定められています(民法1024条1項)。
・直系尊属(被相続人の両親、祖父母)のみが相続人である場合:3分の1
・それ以外の場合:2分の1

兄弟姉妹には遺留分がありません。
相続人が妻と両親であるケースで、妻に遺産の全てを相続させる旨の遺言書が存在する場合、両親は法定相続分である3分の1に遺留分2分の1を乗じた6分の1が遺留分として認められています。

しかし、妻に相続させる旨の遺言の内容に従って遺産分割をすると、両親の遺留分が侵害されることとなってしまいます。
遺言書がない場合であっても、一部の相続人にのみ有利な遺産分割協議結果とすると、遺留分を侵害したまま適正な配分が受けられない状況が生じることがあります。
遺留分がもらえない場合には、法的な解決方法を正しく理解し、適切な対処を行うことが重要です。
遺留分は請求しないともらうことができません。
本記事では、遺留分がもらえない状況における法的解決手段と、それに伴うリスクについて詳しく解説します。

 

遺留分がもらえない主な原因と背景

✅遺留分が侵害されるケース

遺留分がもらえない状況は、主に三つのパターンで発生します。

第一に、遺言による遺留分侵害です。
被相続人が特定の相続人や第三者に全財産を遺贈する遺言を残した場合、他の相続人の遺留分が侵害される可能性があります。

第二に、生前贈与による財産の流出です。
被相続人が生前に特定の人物に多額の財産を贈与していた場合、相続時に残された財産が少なくなり、遺留分の計算基礎となる財産が不足することがあります。

第三に、遺産分割協議における不公平な分配です。
相続人間の話し合いで、一部の相続人が遺留分を下回る財産しか受け取れない合意が成立してしまうケースがあります。
これらの状況では、遺留分を有する相続人が本来の権利を行使できず、経済的な不利益を被ることになります。

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遺留分がもらえない場合の具体的なリスク

✅経済的リスク、相続人間の対立リスク、時効消滅のリスク

遺留分がもらえない状況を放置すると、さまざまな深刻なリスクが発生します。
経済的なリスクとして、本来受け取るべき財産を失うことで、生活基盤が不安定になる可能性があります。

特に、被相続人に経済的に依存していた配偶者や子供にとって、生活資金の確保が困難になる重大な問題です。

また、遺留分侵害を放置することで、家族関係に深刻な亀裂が生じるリスクもあります。
遺留分を侵害した相続人や受遺者に対する不信感や怒りが蓄積し、修復困難な対立関係に発展することがあります。

さらに重要なのは、遺留分侵害額請求権には1年という短期間の時効が設定されていることです。
相続の開始と遺留分侵害の事実を知った日から1年を経過すると、この権利は消滅してしまいます。
時効期間を過ぎてしまうと、法的な救済手段を失い、遺留分を取り戻すことが事実上不可能になります。

 

遺留分を取り戻すための法的解決方法

✅遺留分侵害額請求(民法1046条1項)

遺留分がもらえない場合の解決方法として、まず「遺留分侵害額請求」という法的手続きが利用できます。

【協議(話し合い)】
遺留分侵害額請求は、遺留分を侵害された相続人が、侵害額に相当する金銭の支払いを請求する権利です。
この請求は、まず相手方に対する意思表示から始まります。
内容証明郵便による通知書の送付が一般的で、遺留分を請求したことと、その意思表示が相手方の到達したことという確実な証拠を残すことができます。

【調停申立て(家庭裁判所)】
相手方が任意の支払いに応じない場合は、家庭裁判所に調停の申立てを行います。
調停では、裁判官と調停委員の仲介の下で、当事者間の話し合いによる解決を目指します。

【訴訟提起(地方裁判所)】
調停でも合意に至らない場合は、地方裁判所に訴訟を提起することになります。
訴訟では、遺留分の計算や侵害額の立証が重要な争点となり、適切な証拠収集と法的主張が勝敗を左右します。

 

✅生前贈与がある場合の注意点

生前贈与が関係する場合は、贈与の時期や内容によって遺留分の計算方法が異なるため、専門的な判断が必要です。

【第三者への生前贈与】
第三者に対する贈与は「相続発生から1年以内」のものに限り、遺留分を算定するための財産の価格に算入しますが、当事者双方が他の相続人に損害を与えることを知りながら行った場合には、遺留分算定するための財産の価格に算入することができます(民法1044条1項)。

【相続人への生前贈与】
相続人に対する贈与は「相続発生から10年以内」で、当事者双方が他の相続人に損害を与えることを知りながら行った場合には、同様に算入が可能です(1044条3項)。

いずれも、改正民法施行前2019年6月30日以前に開始した相続には当てはまらず、当該期間に発生した相続には全ての贈与が対象となるので注意が必要です。

 

弁護士に相談するメリット

遺留分の問題は複雑な法的知識を要するため、弁護士への相談が強く推奨されます。
弁護士に依頼することで、まず遺留分の正確な計算が可能になります。
相続財産の評価や生前贈与の取り扱いなど、専門知識がなければ適正な遺留分額を算出することは困難です。

また、弁護士が代理人として交渉を行うことで、感情的な対立を避けながら冷静な話し合いを進めることができます。
相手方も法的根拠に基づく主張に対して真摯に対応する傾向があり、早期解決の可能性が高まります。

さらに、調停や訴訟手続きにおいても、弁護士の専門的なサポートは不可欠です。
適切な証拠収集、法的主張の構成、相手方との交渉戦略など、法的手続きの各段階で専門的な判断が求められます。
時効期間の管理についても、弁護士に相談することで適切な対応時期を逃すリスクを回避できます。

 

まとめ

遺留分がもらえない状況は、相続人に認められた最低限の遺産をもらう権利が侵害されている深刻な問題です。
遺言による侵害、生前贈与による財産流出、不公平な遺産分割など、様々な原因で遺留分を受け取れない状況が発生する可能性があります。
このような場合、遺留分侵害額請求という法的手段を活用することで権利を回復できます。

ただし、遺留分侵害額請求権は1年という短期間で時効にかかるため、迅速な対応が不可欠です。

また、遺留分の計算や法的手続きには専門知識が必要であり、弁護士のサポートなしに適切な解決を図ることは困難です。
遺留分の問題でお悩みの方は、時効期間を過ぎる前に、できるだけ早期に専門家にご相談ください。
適切な法的対応により、本来の権利を確実に回復することが可能です。

 


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監修者情報

菅原仁人 弁護士 顔写真

菅原 仁人(すがわら まさと)

弁護士法人リブラ共同法律事務所 代表社員弁護士|弁護士登録番号:40280

注力分野:遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言書作成、離婚

相続は、争う相手が見知らぬ他人ではなく、兄弟・親族であることが多く、法律問題であると同時に、大きな心理的負担を伴うものです。私は、依頼者の方が安心して手続きを進められること、そして納得のいく解決を実現することを何より大切にしています。相続についてお悩みやご不安がございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

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