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依頼者:札幌市中央区在住 50代男性
相続人4名(配偶者、長男、次男、長女)、被相続人の兄弟2名が遺留分を主張する事案でした。
父親が遺言書を残さずに他界し、遺産は札幌市中央区の自宅不動産(評価額1,800万円)、預貯金600万円、株式200万円の合計2,600万円でした。
母親が自宅での生活継続を希望していましたが、次男が法定相続分通りの現金分割を要求し、自宅の売却を主張していました。
長女も結婚後の生活資金が必要で次男に同調し、さらに被相続人の兄弟が生前援助を理由に遺留分減殺請求をほのめかしており、相続人間の合意形成が困難な状態でした。
この事案では以下の点が解決を困難にしていました。
不動産鑑定士による査定で適正評価額1,800万円を確定し、被相続人の兄弟については生前援助の法的根拠が薄いことを説明し、請求を断念させました。
母親の居住権確保のため配偶者居住権を提案しましたが、理解が得られず、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てました。
調停では母親が自宅を相続し、預貯金・株式800万円と追加の代償金200万円を他の相続人で分割する案を成立させました。
母親が自宅不動産(1,800万円)を単独相続、長男が預貯金300万円、次男が預貯金200万円+代償金100万円、長女が株式200万円+代償金100万円を取得しました。
代償金200万円は5年分割払いで合意となりました。
次男は早期に現金300万円を取得でき転職問題を解決、母親は住み慣れた自宅での生活を継続できました。
相続税申告も期限内に完了し、全相続人が納得する結果となりました。
不動産が遺産の大部分を占める典型的な相続問題でした。
法定相続分通りの分割は現実的でないため、各相続人の事情を考慮した柔軟な解決が必要です。
調停では中立的な調停委員が各相続人の事情を聞き取り、現実的な解決案を提示してくれました。
代償金の分割払いも支払う側の経済状況を考慮した結果です。
不動産相続では感情論だけでなく経済的現実を踏まえた冷静な判断が重要だと感じた事案です。
不動産が遺産の大部分を占める相続では、まず適正な評価額の確定が重要です。
居住継続希望者がいる場合は代償金による解決を検討しましょう。
配偶者居住権という制度もありますが、他の相続人の理解が必要です。
話し合いがまとまらない場合は早めに家庭裁判所の調停を利用することをお勧めします。
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弁護士法人リブラ共同法律事務所
弁護士 髙橋 亜林
相続、離婚など家事事件