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半年前,夫が亡くなりました。私たち夫婦には子どもがいません。
夫は生前,夫亡き後の私の生活を非常に心配して,夫の財産を全て私に相続させるという遺言書を残してくれていました。
そのおかげで夫の財産を無事引き継ぐことができて一安心していた矢先,夫と仲が悪かった弟から「俺にも遺留分があるから兄貴の財産を少しよこせ。」という連絡が来ました。私は夫の弟に遺産を分けなければならないのでしょうか。
遺留分とは,一定の相続人に留保された相続財産の割合を言います。遺言書で財産を相続できないこととなった法定相続人にも,最低限残された取り分と言うとわかりやすいかもしれません。
このような遺留分の制度が設けられているのは,被相続人の財産処分の自由を認めつつ,残される相続人の遺産に対する一定の期待を保護するためなどと言われています。
それでは,ご相談の件で,弟からの兄の遺産に対する遺留分の主張が認められるのでしょうか。結論から言うと,「NO」ということになります。
遺留分の権利が認められる法定相続人は,妻や子,親のみであり,「兄弟姉妹」はここから除かれているのです。つまり,兄弟姉妹には遺留分がありません。したがって,今回のご相談者さんは,亡き夫の弟からの請求に応じる必要はないということになります。
(担当弁護士:菅原 仁人)
弁護士法人リブラ共同法律事務所
代表弁護士 菅原 仁人
相続、離婚など家事事件
中央大学法学部卒業後、平成21年に弁護士登録、札幌の法律事務所に入所。3年半の勤務を経て北海道リブラ法律事務所(現弁護士法人リブラ共同法律事務所)を設立。
札幌地域の離婚や相続など、家事事件を主に取り扱っている。現在は札幌市内2か所(札幌・新札幌)と東京1か所(吉祥寺)にそれぞれ拠点を構える弁護士法人の代表として活動している。