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遺産分割調停を申し立てられた方は裁判所から答弁書の提出を求められることになります。
ですが、多くの方にとってはおそらく初めてのご経験であり、「何を書けばよいか分からない」というお悩みもよく耳にするところです。
この遺産分割調停の答弁書は、調停委員や裁判官が調停を申し立てられた側の反応を初めて目にするという意味でも重要な書面です。もし不適切な内容を書いてしまえば、その後の調停で不利な立場に立たされる可能性も否定できません。
そこで本記事では、遺産分割調停の答弁書で書いてはいけない内容について、弁護士法人リブラ共同法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
答弁書とは、遺産分割調停を申し立てられた相続人(調停の「相手方」となる方)が、申立人の主張に対する意見や反論を記載して裁判所に提出する書面です。
答弁書は、遺産分割調停の申立てを受理した家庭裁判所が第1回調停期日を決定したのち、申立てがあった事の通知、申立書の控えおよび調停期日への呼出状などとともに相手方となっている相続人全員に所定の書式で送付されます。一般的には調停の第1回期日の1週間ほど前までには提出するよう求められます。この答弁書の内容が調停委員の第一印象を大きく左右するといっても過言ではありません。
答弁書は単なる形式的な書類ではなく、「主張したいことは期日で直接聞いてもらえばいい」と軽視しないようにすべきです。というのも、調停委員は申立人から提出された申立書と相手方から提出された答弁書を読み比べて事案の概要を把握するため、答弁書の内容が調停委員の心証形成に大きな影響を与えかねないからです。逆にいえば、適切に作成された答弁書は、調停を有利に進めるための重要な武器ともなります。

答弁書の内容として最も避けるべきは、他の相続人に対する感情的な批判や誹謗中傷になるものです。
✅「申立人は生前、父の財産を当てにして何度も金をせびっていた」
✅「申立人は親不孝者で葬儀にも来なかった」
✅「申立人のような人間に相続の権利はない」
このような感情的な表現は、調停委員に対して「冷静な話し合いができない人物」という悪い印象を与えかねませんし、主張内容に主観が入り込んでいるとの疑いを持たれやすくなる危険もあります。
冷静になって感情を排除し、客観的な事実のみを記載するよう心がけましょう。
例えば、単に「申立人は生前から被相続人の財産をあてにしていた」と書くのではなく、「申立人は被相続人から生前に○○円の贈与を受けており、これは特別受益に該当すると考えます」と、法律的な主張に置き換えることが重要です。
証拠に基づかない憶測や伝聞情報を答弁書に記載することも避けるべきです。
✅「申立人は被相続人の預金を使い込んでいるはずだ」
✅「申立人は隠し財産があると思われる」
✅「おそらく申立人は生前贈与を受けているだろう」
「はずだ」「思われる」「だろう」といった曖昧な表現は、主張の説得力を著しく低下させます。
主張する事実については、必ず証拠を示します。
使い込みを主張したいケースを例にすると、「被相続人名義の○○銀行の預金口座から、平成○年○月○日に○○円が引き出されており、その使途が不明です」と、具体的な事実を記載したうえで、該当する口座の取引履歴などの証拠を添付します。

法律知識が不十分なまま、法律用語を誤って使用することも問題です。
特別受益と寄与分を混同したり、遺留分と法定相続分を取り違えたりするケースが見られます。
誤った法律用語の使用は、専門知識の欠如を露呈し、主張全体の信頼性を損ないかねません。
法律用語を使用する場合は、その意味を正確に理解した上で使う必要があります。不安な場合は無理に法律用語にこだわらず平易な表現で事実を説明し、法的な評価に関してはあらかじめ弁護士にアドバイスを受け、調停の場での主張は代理人として依頼した弁護士に任せるのが安全です。
答弁書の中での矛盾した主張は、調停委員からも厳しく指摘されかねないポイントのひとつで、致命的な失敗につながる可能性もあります。
申立人側から使い込みを疑われている状況で「被相続人の預金は全て被相続人自身の生活費に使った」と主張しながら、別の箇所で「被相続人は年金だけで十分生活できた」と記載するなど、前後の主張が矛盾しているケースです。
答弁書を作成したら、必ず全体を通して読み返し、主張に一貫性があるか確認します。特に複数の論点がある場合は、それぞれの主張が互いに矛盾していないか注意をはらう必要があります。

自分に不利な事実があるからといって、それを隠したり、虚偽の記載をすることは絶対に避けるべきです。
後になって隠していた事実が明らかになると、調停委員や裁判官からの信用を完全に失います。一連の手続きの間に一度失った信用を回復することは極めて困難で、その後の主張が全て疑われる結果となります。
不利な事実があっても、それをどう説明するかを弁護士と相談し、噓の無いように答弁書に記載します。不利な事実は認めつつ、その影響を最小限にする法律構成を考えることが重要です。
答弁書に全ての主張を詰め込もうとして、過度に長文になることも必ずしも得策とはいえません。
調停委員は多数の事件を担当しており、長すぎる答弁書はじっくり読んでもらえない可能性も否定できません。また、情報過多により、本当に主張したい重要なポイントが埋もれてしまいます。
答弁書に書き込む主張はなるべく所定の用紙に収まる範囲内で、補足したい事項を書面にまとめる場合もA4用紙2~3枚程度にすることが適切です。重要な主張を簡潔にまとめ、詳細は証拠資料や調停期日での説明に委ねるほうが効果的です。

遺産分割調停の答弁書を作成する際は、以下のポイントを押さえましょう。
客観的な事実と、自分の法律的主張を明確に区別して記載します。
事実については証拠を示し、主張については法律的根拠を簡潔に述べます。
例えば特別受益を主張したいケースにおいては、「多額の贈与」ではなく「○○円の贈与」と、具体的な金額を記載すべきです。
また寄与分を主張したいケースならば「長期間介護した」ではなく「平成○年○月から令和○年○月までの○年間介護した」と、具体的な期間を示すようにしましょう。
答弁書で主張する事実については、裏付けとなる証拠を整理し、一覧表にして添付します。主張したい事実によって提出すべき証拠も変わってきますが、以下は必要とされることの多い証拠の例です。
✅ 預貯金の取引履歴
✅ 不動産の登記簿謄本
✅ 生前贈与の契約書
✅ 介護記録
✅ 医療費の領収書
また、証拠を提出する際には証拠番号を付けて、答弁書のどの部分を裏付けるものであるかを明確にすることが大切です。

遺産分割調停の答弁書を適切に作成するには、専門的な知識と経験を要します。
弁護士に調停手続代理人にたてておくことで、特別受益、寄与分、遺留分などの法律上の概念の正確な理解に基づく主張ができます。また、主張したいことに対してどのような証拠が必要かを吟味したうえで、調停委員に説得力のある説明を行えるよう準備いたします。
遺産分割調停では全ての手の内を最初から明かすのではなく、段階的に主張を展開することで、有利に進められるケースもあります。調停の実務経験を積んだ弁護士にご依頼いただければ、どの事実を答弁書に記載し、どの主張は調停期日まで留保するか、戦略的な判断をいたします。
調停を申し立てられた側は決められた第1回期日までの時間的制約の中で答弁書提出等の準備をすることになりますが、答弁書の作成には、関連する法律の調査、証拠の整理、文章の推敲などの労力を費やすことになります。弁護士に依頼することで、これらの負担から解放され、精神的な余裕を持って調停に臨めます。

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✅遺産分割調停の答弁書では、感情的な批判、証拠のない憶測、法律用語の誤用、矛盾する主張、事実の隠蔽、過度に詳細な記載を避けることが重要です。
✅適切な答弁書を作成することで、調停委員に良い第一印象を与え、その後の調停を有利に進めることができます。
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