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「突然、家庭裁判所から遺産分割調停の呼出状が届いた」と動揺される方は少なくありません。普段は中々なじみのない相続の問題、さらには裁判所での手続にどう対応すべきか分からないとしても、誤った行動をとってしまうと後に不利になる可能性があります。
本記事では、遺産分割調停を申し立てられた時にすべきではない行動について、相続問題に注力する弁護士法人リブラ共同法律事務所が詳しく解説します。
遺産分割調停とは、相続人間で遺産の分け方についての話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所に申し立てて行われる手続です。遺産分割調停手続では申立人と相手方は直接対面せず「調停委員」が間に入って各相続人の主張を聞きながら、公平な遺産分割を目指して話し合いを進めます。
調停は裁判と異なり裁判所が結論を出すものではなく、あくまで話し合いによる解決を目指す手続ですが、対応次第で不利な結果につながることもあります。
以下では、遺産分割調停を申し立てられた「相手方」となった方が取るべきでない行動について、特にリスクの高いものから順に5つ、紹介いたします。

調停の申立てが受理されると、家庭裁判所は調停委員を交えた話し合い(調停期日)のスケジュールを決定し、申立人以外の相続人に対して申立書類の控えとともに期日への呼出状を送達します。この調停の呼出状が届いたにもかかわらず、無視して出席しないことは最もやってはいけない行動です。
調停期日への呼び出しを無視し正当な理由なく欠席を繰り返すと、調停委員や裁判官が悪い印象を抱かせてしまうことは避けられません。「話し合いに応じる意思がない」「誠実さに欠ける」との印象を持たれこそするものの、こちらの意向を考慮してもらえる機会がないまま期日が繰り返されていきます。こうして調停期日への欠席が続くと、手続を続ける意味がないとして最終的には調停は不成立となってしまいます。
当事者が揃わないまま調停が不成立となったときには、手続は遺産分割「審判」手続に移行します。
遺産分割審判は相続人間の同意が形成されなくても家庭裁判所の判断で遺産の分割方法を決定することができる手続です。審判手続においても当事者の意見を聞き取る期日は開かれますが、引き続き呼び出しを無視し続けていると、こちらからは主張すべき事実が主張できず、裁判官としては他の相続人の主張や証拠だけを判断材料とせざるを得なくなります。その結果、最終的な遺産分割の内容が不利なものとなってしまいかねません。
正当な理由で出席できない場合は、必ず事前に裁判所に連絡し、期日変更の申立てを行いましょう。
自分に不利な証拠や資料があるからといって、それを隠したり提出しないことは絶対に避けるべきです。
後になって隠していた事実が明らかになると、調停委員や裁判官からの信用を完全に失ってしまうおそれがあります。手続の期間内で一度失った信用を回復することは極めて難しく、その後の主張が全て疑われることにもなりかねません。
調停期日において調停委員から資料の提出を求められたとき、正当な理由なく提出を拒否すれば「手続に協力的でない」「不利な事実(使い込みなど)を隠しているのではないか」といった心証を持たれ、調停不成立とされる可能性があります。審判に移行した際は裁判官は提出された客観的証拠をもとに判断をするため、資料提出を拒んだ側に不利な事実認定がされるリスクが生じます。
もし自身に不利な事実を根拠づけうる資料があった際も、提出できない理由を説明したり範囲を限定して提出するなどの対応を検討出来る場合があります。弁護士に相談して「どこまで提出するか」、「どう説明するか」を整理したうえで対応することをお勧めします。

調停の場で感情的になり、他の相続人を非難したり、調停委員に対して攻撃的な態度を取ることは避けるべきです。
調停委員は中立的な立場で話し合いを進める役割を担っています。感情的な言動は、調停委員に対して「話し合いが困難な人物」という心証を与えたり、主張内容に対して「主観が入り込んでいるのではないか」と疑いを向けられたりすることにつながりかねません。その結果として申立人側の主張が採用されやすくなるリスクも生じます。
たとえ相手方の主張に納得できなくても、冷静に事実と法的根拠に基づいて反論することが重要です。感情論ではなく、客観的な証拠や法律の規定を示すことで、説得力のある主張ができます。
法的な制限はない
調停手続では期日と期日の間に1か月程度の期間がおかれることが多く、相続人たちはその間に主張をまとめたり、調停委員の指示のもとで追加資料を用意したりすることになります。
迅速な相続問題の解決という観点から、この期日間で相続人が直接連絡を取り合うことに法律上の制限は設けられていません。ですが、状況によっては推奨されないケースもあります。
そもそも、一般的に調停手続は本人同士での協議では解決が難しいと感じた相続人が申し立てるものです。調停に臨む相続人間の関係はケースバイケースではありますが、例えば「普段から折り合いが悪く、話したくない」と考えている相続人に期日以外での交渉を持ち掛けると余計にこじれてしまうおそれがあります。また、口頭で分割内容について一定の同意を取り付けられたとしても、後の期日の場で「そんな話はしていない」と否定される可能性もあります。
代理人をつけていない場合は特に、期日間は急ぎの用件がない限りは書面提出等の裁判所への対応に注力し、交渉自体は調停の場で行うとよいでしょう。調停期日において記録に残る形で話し合うことが後のトラブルを防ぐためにも重要です。

遺産分割の調停や審判については、必ず代理人をつけなくてはいけないというルールはなく、相続人本人だけで手続を進めることも一応可能です。ですが、後述の通り弁護士に依頼せず調停を進めることは実際には相当なレアケースであり、一人で対応しようとすることにはリスクもあります。
遺産分割には、特別受益、寄与分、遺留分など、専門的な法的概念が関わります。これらの知識がないまま調停に臨むと、本来主張できる権利を見逃したり、申立人側の主張に適切な反論が出来なかったりして、不利な条件で調停が成立してしまう可能性があります。
経験豊富な弁護士は、どのタイミングでどのような主張をすべきか、どこまで譲歩すべきかといった戦略的な判断をもとに調停期日に臨みます。これに対して実務経験のない相続人のみで対応する場合には、場当たり的な対応をしてしまい、後悔する結果につながるおそれがあります。
実際、令和6年の司法統計によれば家庭裁判所での遺産分割調停の約8割に代理人弁護士が関与していたとのデータもあり、申立人側は弁護士に依頼のうえで手続に臨んでいることがほとんどであると考えられます。申立てを受けた側もなるべく早い段階で弁護士にご相談・ご依頼いただき、対応を検討することが重要です。

相続で調停を申し立てられたら、以下の対応を速やかに行いましょう。
以下のような、調停での主張を裏付ける資料を集めておきます。
(遺産分割調停で提出される資料の例)
✅ 被相続人の預貯金通帳や取引履歴
✅ 不動産の登記簿謄本や固定資産評価証明書
✅ 生前贈与に関する資料
✅ 被相続人の介護や看護に関する記録
✅ 相手方とのやり取りの記録
自分の主張を整理し、どのような遺産分割を希望するのか、その理由は何かを明確にします。感情的な理由だけでなく、法的根拠に基づいた主張ができるよう準備することが重要です。
調停の呼出状が届いたら、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。第1回期日までに十分な準備をするため、時間的余裕を持って相談することをお勧めします。

遺産分割調停では、弁護士に依頼することで多くのメリットがあります。
✅法的に正確な主張
特別受益、寄与分、遺留分など、専門的な法的概念を正確に理解し、適切に主張できます。
✅調停委員への効果的な説明
調停委員が法定な知識を持っているかはまちまちで、法律用語をそのまま使っても理解が得られないこともあれば、一般の方にも分かりやすい説明のないまま話をまとめようとされることもあるようです。弁護士は、法的根拠を分かりやすく説明し、調停委員の理解と共感を得る技術を持っています。
✅精神的負担の軽減
家族間の相続トラブルは精神的な負担が大きく、冷静な判断が難しくなります。弁護士に依頼することで、裁判所への対応や期日での交渉を任せられ、依頼者は精神的な余裕を持って調停に臨めます。

当事務所が選ばれる理由をご紹介します。
札幌2拠点(札幌駅前・新札幌)、東京2拠点(吉祥寺・立川)の計4拠点から、全国のお客様をサポートしております。WEB会議システムを活用した遠方の家庭裁判所が管轄となる調停手続にも対応可能です。
現在の状況を詳しくお伺いし、調停での見通しや取るべき対応について、初回50分間無料でご説明いたします。
遺産分割調停を申し立てられた際、不適切な対応を取ると、後の手続で大きな不利益を被る可能性があります。呼び出しの無視、証拠の隠匿、感情的な対応、直接交渉、弁護士への相談なし、といった行動は少なくともおすすめは出来ません。
弁護士法人リブラ共同法律事務所では、調停を申し立てられた方のために、戦略的なアドバイスと全面的なサポートを提供いたします。相続で調停を申し立てられてお困りの方は、一人で悩まず、まずは当事務所の初回無料相談をご利用ください。適切な対応により、納得のいく遺産分割の実現を目指します。
