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「相続が発生してから時間が経過し、気づいたら遺留分侵害額請求の時効が迫っていた」というご状況で慌てて弁護士に相談される方は少なくありません。
遺留分侵害額請求には法律で定められた時効期間があり、この期間を過ぎると権利が消滅してしまいます。
本記事では、遺留分の時効期間や時効期間が迫った時に取るべき対応について、相続問題に注力する弁護士法人リブラ共同法律事務所の弁護士が詳しく解説します。

遺留分とは、一定の相続人に対して法律上保障された最低限の遺産の取得割合のことです。
たとえば、被相続人が遺言書で特定の人に全財産を譲ると記載していたとしても、兄弟姉妹以外の法定相続人は財産を受け取った人に対して遺留分相当額の支払いを求める権利を持ちます。
この権利を行使する手続が遺留分侵害額請求であり、以前は「遺留分減殺請求」と呼ばれていましたが、2019年の民法改正により現在の名称に変更されました。
遺留分を請求できるのは、以下の相続人に限られます。
✅ 配偶者
✅ 子(直系卑属)
✅ 父母(直系尊属)
兄弟姉妹には遺留分が認められていないため、特定の人に対する遺贈や贈与の結果財産を受け取れなくても遺留分侵害額請求はできません。
遺留分侵害額請求の請求期限(時効期間)は、民法にて定められています。
「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時」から1年以内に請求しなければ、時効により権利が消滅します(民法第1048条前段)。
なお、この「知った時」とは、単に被相続人が亡くなったことを知っただけでなく、自分の遺留分が侵害されていることを認識した時点を指します。
法的には、遺留分を持つ方が遺留分侵害額請求の意思表示をした段階で、遺留分侵害額請求権とは別途の金銭債権(金銭支払請求権)が生じると解釈されています。
この金銭債権は債権の消滅時効の原則に従い、5年で時効が完成します(民法第166条第1項第1号)。
つまり、遺留分侵害額請求権を行使しても、その後何もしないまま5年が経過すると金銭支払請求をすることはできなくなってしまいます。
相続開始の時から10年を経過したときも、遺留分侵害額請求権は自動的に消滅します(民法第1048条後段)。
こちらは遺留分侵害の事実を知らなかった場合も適用される期間であり、後述の「完成猶予」や「更新」もありません。
実務上、多くのケースで問題となるのは1年の短期時効です。
相続発生後、遺言書の内容を確認するまでに時間がかかったり、遺留分という制度を知らなかったりして、気づいた時には時効が迫っているという状況が少なくありません。
また、遺言自体が無効だと考え確認訴訟などで争っている場合も、原則として時効期間は進行するという裁判例もあります。
遺留分を持つ方は、そもそも遺言の効力自体に疑問があるケースであっても予備的に遺留分侵害額請求も行うことが大切です。

遺留分の時効が迫っている場合、迅速な対応が求められます。
まずは、短期時効期間が経過してしまう前に、相手方に対して遺留分侵害額請求の意思表示を行う必要があります。
意思表示の方法について法律上の決まりがあるわけではありませんが、最も確実な方法は内容証明郵便による通知です。
内容証明郵便は送付の時期、相手、内容について郵便局が証明してくれる文書であるため、「言われていない」「文書など知らない」といった反論にも対抗できる有力な証拠となります。
上述の通り、遺留分侵害額請求の意思表示後には金銭支払請求権が5年の時効にかかります。
もし、その後も話がまとまる見込みがなければ、遺留分侵害額請求権に基づく金銭の支払いを求める調停や裁判を起こす必要があります。
調停や訴訟を起こすことで消滅時効の完成が猶予され(民法第147条第1項)、訴訟の場合は判決が確定すれば新たに5年の時効が進行します(時効の「更新」、民法第147条第2項)。
これらの法的手続には、
✅被相続人の出生~死亡までの全ての戸籍謄本
✅相続人全員の戸籍謄本
✅被相続人の子(およびその代襲者)が死亡している場合はその者の出生~死亡までの全ての戸籍謄本
✅遺言書または遺言書の検認調書謄本の写し
✅遺産に関する資料(預貯金通帳の写し、残高証明、不動産登記事項証明書、有価証券写しなど)
といった書類の準備が必要です。
遺留分侵害額請求、特に時効が迫っている緊急のケースでは、弁護士への依頼が有益です。
弁護士は時効に関する法的知識を持っており、いつまでに何をすべきかを正確に判断できます。
時効まで残り時間が少ない場合でも、最も効果的な手続を選択し、確実に権利を保全します。
また、内容証明郵便を送付する際には意思表示の効果を生じさせるための要件を揃えた文書を速やかに作成し、発送までを代行いたします。
遺留分の計算は複雑で、相続財産の評価、特別受益の有無、生前贈与の取扱いなど、専門的な知識が必要になるケースもございます。
弁護士に依頼することで、正確な金額を算出し、交渉や法的手続の見通しを立てながら適切な請求を行うことができます。
内容証明郵便での請求後、相手方が支払いに応じない場合は、調停や訴訟に進むことになります。
調停委員や裁判官に対して説得力のある主張を展開するには、法的知識と実務経験が不可欠です。
弁護士に依頼すれば調停申立書や訴状の作成から裁判所での主張まで、全ての手続を代理人としてサポートいたします。

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遺留分侵害額請求の時効が迫っている場合、一刻も早く弁護士に相談することが重要です。
時効期間を過ぎてしまうと、どれだけ不当な遺言内容であっても権利を主張することができなくなります。
「もう時効が過ぎてしまったかもしれない」と諦める前に、まずは弁護士にご相談ください。
わずかでも時間的余裕があれば、権利を保全できる可能性があります。
弁護士法人リブラ共同法律事務所では、遺留分の時効に関するご相談も随時受け付けております。
初回相談の際に、時効の状況確認、必要な手続きの説明、今後の見通しについて詳しくご説明いたします。
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