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「相続放棄」とは、被相続人(亡くなった方)の一切の財産を受け取らない意思表示を行う手続のことです。相続放棄の制度を正しく理解し、ご自身やご家族にとって最適な選択をするためには、メリットやデメリットを把握し、必要に応じて弁護士に相談することが大切です。
そこで本記事では、相続放棄に関する基本知識から具体的な手続き、注意点などを相続事件に注力する弁護士法人リブラ共同法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
相続放棄とは、相続人が法律上の手続により、被相続人の財産を一切受け継がないとする意思表示をすることです。この手続は、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出することで行います。
相続放棄が認められると、その相続人は初めから相続人でなかったものとみなされます。そのため、負債を抱えたくない場合や、相続争いを避けたい場合に有効です。
被相続人の借金や未払いのローンなど、マイナスの財産を相続する義務がなくなります。
遺産分割協議に参加する必要がなくなるため、家族間での争いを避けられます。
相続放棄を行えば、被相続人の負債が自分の財産に影響を与えることはありません。
相続放棄を行うと、預貯金や不動産などのプラスの財産もすべて放棄することになります。被相続人名義の自宅に住んでおり今後も住み続けたいなど、承継したい遺産があるケースでは、限定承認を検討すると良いでしょう。
相続放棄をすると、被相続人の父母や兄弟姉妹(甥姪)など、次順位の相続人に負債の負担が移ります。相続放棄には期限があるので、自身が相続放棄をする際にはあらかじめ次順位の相続人に説明しておくことをおすすめします。
家庭裁判所への申立てが必要であり、戸籍や申述書などの書類を準備する必要があります。
被相続人の借金が多く、相続した場合に自分の生活に悪影響を及ぼす可能性がある場合。
遺産をめぐる家族間の争いを避けたい場合。
例えば「父親名義の自宅を高齢の母単独で相続してもらいたい」といったような場合、相続人全員で遺産分割協議書を作成するより各相続人が単独で行える相続放棄の方がスムーズに進められることがあります。
財産状況を把握していない場合、相続放棄により負債を受け継ぐリスクをなくすことができます。また、被相続人と疎遠で、そもそも相続に関わりたくない場合や、他の相続人との連絡も煩わしいという場合にも相続放棄が有効です。
相続できるプラスの財産が負債を上回る場合、あえて相続放棄を選ぶ実益は薄いといえます。
例えば、被相続人名義の家に家族で住んでいる場合に、全員が相続放棄をするとその家を失ってしまうことになりかねません。
相続放棄は、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内(いわゆる「熟慮期間」)に行う必要があります。この期限を過ぎると、原則として放棄は認められません。
財産を使用したり売却したりすると、相続を受け入れたとみなされ(単純承認)、相続放棄はできなくなります。
上述の通り相続放棄は、原則として「自己のために相続が開始したことを知った時」=(通常は)被相続人の死亡を知った時点から3か月以内に行わなければなりません。葬儀の対応や次に述べる相続財産調査をしているうちに期限が迫っていた、ということもよくあるので注意が必要です。
もし財産調査に時間がかかり3か月以内に相続放棄をするかどうか決められそうにない場合には、「相続放棄期間伸長」を家庭裁判所に申し立てて期限を延ばしておく必要があります。
また、被相続人の死亡を知って3か月が経過していたとしても、実務上は期限の経過後に新たな負債が判明した等の事情があれば裁判所の裁量的な判断により相続放棄が認められる場合があります。申述の際には「負債がないと信じていたこと」、「そのように信じていたことに相当な理由があったこと」等を裁判所に説明できるよう準備することになります。
被相続人の財産状況を把握し、プラスとマイナスの財産を確認します。
相続放棄のメリット・デメリットを正しく理解し、相続放棄をすべきか決定します。
相続財産調査についてこちらもご覧ください>>『相続財産調査』
家庭裁判所に提出するための「相続放棄申述書」や戸籍謄本を用意します。
必要書類がそろったら、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行います。書類は窓口に持参して提出しても、郵送で提出しても構いません。
相続申述書を提出した家庭裁判所から、照会書が届くことがあります。
この照会は相続放棄が相続人本人の意思でなされているかどうか確認するために行われているものですので、速やかに必要事項を記入して返送するようにしましょう。
相続放棄申述が受理されると、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。この通知書は再発行されませんので大切に保管しましょう。
相続放棄をしたことを第三者に証明するには、上記の相続放棄受理通知書ではなく「相続放棄受理証明書」を用います。相続放棄をしなかった相続人や次順位の相続人、被相続人の債権者などに自身が相続人ではないことを伝える必要がある際には、相続放棄申述を受理した家庭裁判所に申請して必要数を取得しておきましょう。
弁護士が相続人の代理人として相続放棄申述に必要な書類の作成や手続を代行するため、時間と労力を削減できます。
財産調査の進め方や相続放棄をすべきかどうかの判断について事案に即した専門的なアドバイスを提供します。
相続人間の争いや誤解を避けるための連絡・調整も弁護士が行います。また、疎遠になっている相続人の所在調査や債権者への連絡なども任せることが出来ます。
弁護士法人リブラ共同法律事務所は、相続に関する豊富な経験と実績を持つ弁護士が在籍し、家庭裁判所への相続放棄申述のサポートはもちろん、相続財産調査や相続人調査、他の相続人や債権者との連絡・交渉まで、安心してお任せいただける体制を整えております。
相続放棄に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。初回相談は無料で対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
相続放棄をご依頼いただく際の費用はこちらをご覧ください>>『弁護士費用』
相続放棄の解決事例はこちらをご覧ください>>『解決事例:相続放棄』