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「前妻・後妻」の相続トラブル②:あなたが後妻または後妻のお子様である場合

この記事を読むのに必要な時間は約8分1秒です。

 このようなお悩みありませんか?-前妻のお子様からのよくあるご相談

「相続手続のために戸籍を取り寄せていたら、故人に前妻の子がいることが判明した」

「これまで関わりのなかった前妻の子と、どうやって遺産分割協議を進めていけばよいか」

「前妻の子に、夫(父)の財産を相続させない方法はないだろうか」

…といったご相談をお受けすることがあります。

「前妻・後妻」の相続トラブル①:あなたが前妻のお子様である場合①はこちら>>>

 

被相続人に離婚歴があって前妻の子がいる場合、この前妻との間の子も被相続人と法律上の親子関係が存在することには変わりなく、後妻や後妻との間の子と同じく第一順位の法定相続人となります(前妻は既に配偶者ではないため相続権はありません)。

しかし、前妻との間の子は、後妻やその間の子と面識がないことが多く、相続開始後に思わぬ争いとなるケースも珍しくありません。

 

そこで、以下では札幌市近郊で多数の相続問題を取り扱ってきた弁護士が、相続を巡る前妻の子との間で生じる問題につき、後妻や後妻の子らがどのような手段を取れるのかという点について、ご説明いたします。

 

1 被相続人が亡くなる前に取れる手段

(1)遺言作成のメリット

 被相続人の生前に、遺言を残しておく方法が有効です。中でも特に、紛失や改ざんのおそれがなく、検認も不要な公正証書遺言の形式で作成することをお勧めします。

遺言を「後妻(後妻の子)にすべての遺産を相続させる」旨の内容で作成すれば、被相続人の死後はその内容に従って相続手続を進めることが可能になります。また、後述の通り、遺産分割協議は前妻の子を含めた相続人全員が参加しなければならないのが原則ですが、全財産を後妻と後妻の子で相続する内容の遺言書があれば他の相続人と遺産分割について協議する必要が無くなります。

(2)遺留分には注意!

ただし、遺言には相続人の遺留分を侵害することが出来ない、という法律上の制限があることには注意しなければなりません。

 遺留分とは、遺言の内容に関係なく一定の相続人(遺留分権利者)に承継されるべき最低限の割合を指します。遺言内容がこの権利を侵害していると、遺留分権利者は受遺者(遺言により財産を受け取った人)に対し遺留分侵害額請求を行い、法律で定められた範囲の遺留分を受け取ることになります。相続人が配偶者(後妻)と子の場合は子の遺留分は4分の1、相続人が子のみであれば遺留分は2分の1であり、子が複数いれば、これらの割合について更に子の間で等分されると定められています。たとえば、相続人が後妻、後妻との間の子1人、さらに前妻の子が1人の計3人の場合であれば、後妻の子の遺留分は遺産全体の4分の1×2分の1=8分の1となります。

 

このように、「後妻(後妻の子)にすべての遺産を相続させる」旨の遺言書は後妻の子の遺留分を侵害することになるので、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを後から求められる可能性があります。そのため、遺留分を巡って揉めることをも防ぐなら、弁護士にご相談のうえ、後妻の子の遺留分に配慮して最低限の財産を相続させる内容での遺言書を作成するようにすることをお勧めします。

 

(3)生前贈与について

 また、生前の対策としては生前贈与をしておくことも考えられます。というのも、相続の対象となる相続財産は、被相続人の死亡時の財産であることから、生前に後妻や後妻の子に対して贈与をしてしまえばそもそも遺産分割協議の対象とはならなくなるからです。

しかし、生前に相続人にした贈与は、「特別受益」と呼ばれる遺産の先取りに該当する可能性が高いです。そうすると、遺産分割の際は特別受益分を持ち戻して相続分を計算されることになり、前妻の子に財産を渡さないための手段としては意味をなさなくなるおそれがあります。

もっとも、遺言がある場合の遺留分を計算する際に考慮する生前贈与については、相続法の改正により死亡前10年間のものに限定されるようになりました(上述の相続分の計算においては、このような期間制限はありません)。そのため、早めに遺言作成と併せて行う生前贈与は、遺留分侵害額請求がなされるリスクの軽減策としては有用といえるでしょう。

 

2 被相続人の遺言がない場合は?

(1)遺産分割協議は法定相続人が全員参加しなければ無効

相続のご相談をお受けしている中で、「会ったこともない前妻との間の子どもには財産を渡したくない」というお話を聞く事はよくあります。ですが、上記のような遺言書がない場合には、今のご家族だけで遺産分割を進めていくことはできません。

すなわち、遺産分割は相続人全員で行われる必要があり、法律上、一部の相続人だけで行った遺産分割は無効となります。実務上も、預金の相続手続を行う金融機関や不動産の相続登記を行う法務局では、戸籍謄本の提出を求めて誰が故人の法定相続人であるかを確定し、さらに、署名押印のある遺産分割協議書や印鑑証明書といった書面から相続人全員の同意が取れていることが確認できなければ、これらの手続きに応じません。

 

(2)前妻の子の所在調査

もっとも、他の相続人も、さらには被相続人自身ですらも、前妻の子の連絡先が分からないということもあります。こうしたときには、戸籍の附票を取得し、相続人の住所を調べる方法があります。

相続手続には相続人を確定できるだけの戸籍謄本一式を取得する必要があり、その中で前妻の子の本籍も判明することになります。本籍が分かればその本籍地の役所で戸籍の附票を取得することが可能です。戸籍の附票には前妻の子の現住所が記載されているため、被相続人の死亡を知らせる手紙を送り、連絡を取っていくことになります。

 

3 「前妻・後妻」間の相続トラブルも弁護士にお任せください

被相続人に先妻の子どもと後妻がいる場合の相続では、両者の間でトラブルが生じやすい傾向にあります。また、大きな揉め事が起こらなくとも、両者間に面識のないことがほとんどであることから、「相続について直接話し合いをするのは気が重い」「前妻の子に『もう父とは関わりたくない』という気持ちが強いのか、連絡を無視されてしまう」というご相談をお受けすることもあります。

そこで、あなたが被相続人の後妻、あるいは後妻のお子様であれば、弁護士にご相談・依頼されることをお勧めいたします。弁護士にご依頼いただければ、前妻の子に配慮した生前対策や、遺言がない場合も相手方の反論や調停・訴訟での見通しを考慮した協議を進めることができます。また、話し合いが上手くいかず調停にもつれ込んでも、弁護士が代理人となって法的根拠に基づいた主張や証拠の収集をしていくことが可能です。
また、相続トラブルを弁護士に依頼する大きなメリットとして、精神的な負担の軽減があります。協議・交渉段階から弁護士を代理人とすることで、弁護士が全ての連絡の窓口となることが出来ますので、普段付き合いのない相手に対しても言いたいことを主張しやすく、感情的に後引くことも少ないといえます。さらに、面倒で時間のかかる相続人調査や相続財産調査も代行することが出来ますし、相続手続全般について、ご不明点があればお気軽にお尋ねいただけます。

札幌市近郊にお住まいで、被相続人の前妻の子との相続トラブルにお悩みの方は、多数の相続問題を解決してきた弁護士法人リブラ共同法律事務所へぜひご相談ください。

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