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相続登記の義務化による必要な対応とは?

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いまや全国の土地の約2割にも上るといわれる「所有者不明土地」による問題解消を目的として2021年4月に公布された「民法等の一部を改正する法律」(民法等一部改正法。こちらに不動産登記法の改正が含まれています)により、相続登記の申請が義務化されました。

こちらの記事では札幌市近郊で多数の相続問題を取り扱ってきた弁護士法人リブラ共同法律事務所の弁護士が、相続登記申請の義務化に関する疑問にお答えいたします。

相続登記の義務化はいつから?

相続登記の義務化については、2024(令和6)年4月1日に施行(法律の効力が発生)されました。
ですが、施行日前に発生した相続についても適用されることに注意しましょう(民法等一部改正法附則第5条第6項)。

いつまでに相続登記をしなければならないか?

①改正法の施行日(2024年4月1日)、および②「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日」(改正不動産登記法第76条の2第1項)、のどちらか遅い方の日から3年以内に相続登記をしなければなりません。なお、②の「相続の開始」とは基本的には「被相続人の死亡」と同義であり、また法的には相続の開始とともに遺産は暫定的に相続人全員の共有となるため、各相続人は死亡を知ると同時に「所有権を取得したこと」をも知ることになるのが通常です。

相続登記をしないとどうなる?

改正法のもとでは、上記の期間中に正当な理由もなく相続登記を怠ると、10万円以下の過料に処されるようになります(改正不動産登記法第164条)。過料はあくまで行政罰であり前科がついてしまうことにはなりませんが、理由なく相続登記しないで放置しておくメリットはありませんので、速やかに対応しましょう。

遺産分割協議書なしで相続登記は出来ない?

遺産分割協議を経なくとも、遺言書で不動産を取得する相続人が指定されている場合や、法定相続分での相続登記を行う場合にも遺産分割協議書は必要ありません。

ですが、遺言書が無く、さらにどの相続人が不動産を取得するかで話がまとまらなかったとしても、法定相続分での相続登記を行うことは実務上ほぼありません。というのも、将来的にその不動産を処分するときなどには結局相続人全員が同意しなければならなくなる等、後から複雑な問題が生じるリスクがあるからです。遺言書が無い場合は相続人全員による共有状態を解消するために遺産分割協議を行い、話がまとまらなければ家庭裁判所への遺産分割調停・審判の申立ても検討したほうが良いでしょう。調停調書や審判書があれば、遺産分割協議書の代わりとなります。

相続人申告登記の新設

相続人が多い、意見の対立が激しい…といった事情で遺産分割の方法が相続開始後3年以内にまとまらないこともあるかもしれません。ですが改正法の施行後は、実際にだれが不動産を相続するかで揉めていたとしても、各相続人に登記申請の義務があることに変わりありません(もっとも、状況次第で3年以内に登記をしない「正当な理由」として認められる可能性はあります)。
そこで、改正法では相続人申告登記という制度が新設されました。これは、相続の開始と自身が登記名義人の相続人である旨を法務局に申告して行う登記で、申告した相続人については相続登記の申請義務が免除され、相続開始を知って3年を経過しても過料の対象となることはありません。相続人申告登記の手続は各相続人が単独で行え、また添付書類も戸籍謄本のみと簡易なものとなっていますが、この登記はあくまで当該不動産につき相続が発生していることを公示するものに過ぎないので、後で遺産分割協議がまとまった場合はそこから3年以内に改めて相続登記を申請しなければなりません(改正不動産登記法第76条の2第2項)。

登記できない不動産があったら?

不動産登記の対象は文字通り「不動産」すなわち土地と建物です。ですが、世の中には定着性のない組立式の物置や耐久性に乏しく永続使用もできないビニールハウスなど、不動産登記法上の「建物」とはいえないものもあります。これらについては相続登記の問題は生じませんが、固定資産税が課されているときは市町村役場で支払名義変更手続をする必要があります。

もっとも実際のケースでは登記可能か否か(登記をすべきかどうか)の判断が難しい場合もありますので、相続する土地上に疑わしいものがあれば土地家屋調査士などの専門家に任せることをお勧めいたします。もし調査の結果登記が必要な「建物」に該当する場合は、これを取得した相続人が1か月以内に表題登記を申請しなければならないからです(今回の法改正以前よりある義務です)。

不動産の相続問題を弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼したほうが良いケース①:不動産がずっと放置されていた!

相続が発生しているのに遺産分割をしないまま放置しているうちに、共同相続人のうちの誰かが亡くなってしまうことがあります。このような数次相続が起こっている不動産についてももちろん期限内の相続登記が義務付けられますが、手続に関与しなければならない相続人が増えてしまった後では相続人調査や書類の取りまとめの手間も増えますし、ときにはほとんど関わりのない方同士で話し合いをしなければならなくなってしまう事態も予想されます。

そのため、現時点で登記されている名義人が死亡したにもかかわらず長期間放置されている不動産があれば、すぐに遺産分割協議に取り掛かるべきです。ここで弁護士にご依頼いただければ、相続人調査を行ったうえで各相続人へ連絡、分割内容の調整、協議書の作成、印鑑証明書等の取りまとめ、…といった一連の流れを弁護士が代理してスムーズに進めることが可能です。

弁護士に依頼したほうが良いケース②:遺産分割協議書を作りたくても作れない!

相続登記のために遺産分割協議書を作りたくとも、相続人間で意見が対立してしまい協議内容がまとまらないといったこともあるでしょう。特に不動産は預金などと違い均等な分割の難しい財産ですから、「親名義の家に住み続けている相続人がいる」「実家の不動産以外に目立った財産が無い」、…といったことが原因で中々相続人全員が納得いく分割方法が見つからないといった状況に陥りやすいです。
そのまま協議がこじれてしまったら、家庭裁判所での調停手続への移行も検討しなければなりません。弁護士にご依頼いただければ、ご自身にとって法的に有利(不利)な点、法的手続に入った場合の見通しなども踏まえて交渉できますし、調停に踏み切る際も迅速に準備を進めることが出来ます。

また、不動産の相続を巡ったトラブル発生が予想されるなら生前に遺言書を作成することも有効な対策です。その際も、被相続人の意思を確実に実現できるよう相続問題に詳しい弁護士のサポートを受けることをお勧めします。

不動産の相続は当事事務所にお任せください

遺産分割協議や相続登記をしないまま故人名義の不動産を放置している方もまだまだ多いと考えられますが、今回の相続登記義務化を機に、速やかに登記に向けて準備を進めるべきです。

当事務所では不動産の相続について多数のご相談、ご依頼を受け、遺言書作成と遺産分割協議のいずれについても多くのトラブルを解決しております。

相続登記の義務化以外にも、所有者不明土地を解消するために相続土地国庫帰属法が創設されたり、財産管理制度、共有制度および相隣関係の規定等の改正が進んだりと、今後も様々なルールが変化していくことになっています。そうした中でも相続人の方が迅速に相続登記をできるよう専門家視点でサポートさせていただきますので、札幌市近郊にお住まいで不動産の相続に関してご心配な点がある方は、弁護士法人リブラ共同法律事務所へぜひご相談ください。

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