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「後妻が父の財産を独り占めしようとしている」
「父の遺言に自分への相続分が書かれていない」
「後妻の子が父の遺産を開示してくれない」
「後妻やその子どもたちから、一方的に相続放棄を求められた」
…といったご相談をお受けすることがあります。
「前妻・後妻」の相続トラブル②:あなたが後妻または後妻のお子様である場合はこちら>>>
被相続人に離婚歴があって前妻の子がいる場合、この前妻との間の子も被相続人と法律上の親子関係が存在することには変わりなく、第一順位の法定相続人となります(一方、前妻は既に配偶者ではないため相続権はありません)。
しかし、被相続人と前妻の間の子は、後妻やその間の子と面識がないことがほとんどです。
そのため、相続開始後も連絡が行き届かず、前妻の子の知らないうちに相続の準備が進められてしまうといった問題が生じます。
そこで、以下では札幌市近郊で多数の相続問題を取り扱ってきた弁護士が、前妻の子と後妻らとの間でどのような問題が生じるのか、それらの問題に対して前妻の子がどのような手段を取れるのかという点について、ご説明いたします。
被相続人の生前に遺言書が作成されていた場合に、前妻のお子様からすると「自分への相続分が記載されていなかった」、あるいは「自分への相続分が法定相続分を下回っていた」ということがあります。こうした状況では、まずその遺言内容があなたの遺留分を侵害していないかどうかを確認してみましょう。
遺留分とは、遺言の内容に関係なく一定の相続人(遺留分権利者)に承継されるべき最低限の割合を指します。遺言内容がこの権利を侵害している場合は受遺者(遺言により財産を受け取った人)に対し遺留分侵害額請求を行い、法律で定められた範囲の遺留分を受け取ることになります。
相続人が配偶者(後妻)と子の場合は子の遺留分は4分の1、相続人が子のみであれば遺留分は2分の1となり、子が複数いれば、これらの割合について更に子の間で等分されます。例えば、あなたの他に後妻と後妻との間の子2人が相続人であれば、あなたの遺留分は遺産全体の4分の1×3分の1=12分の1となります。
なお、遺留分侵害請求権は遺留分権利者が相続開始や遺贈等を知った日から1年以内に行わないと時効により消滅してしまうほか、相続開始から10年の除斥期間が経過したときにも消滅してしまうので、注意が必要です。
一方、被相続人が遺言を残していなかった場合は、相続人間で遺産分割の内容について決めていかなければなりません。すなわち、自分以外の相続人との遺産分割協議を行うことになります。
ですが、前妻の子にとっては、後妻やその子から協議を持ち掛けられたところで、「相続人がどんな財産を所有していたか分からない」という問題に直面することがあります。後妻側が口座の取引履歴が不動産の登記簿等、財産に関する資料の提供に応じてくれればよいのですが、実際は故人にもっとも近い存在だった後妻が財産を隠したまま、後妻の子に不利な内容での合意を求めたり、相続放棄をするよう迫ったりするケースも散見されます。
そのため、「財産はほとんど残っていない」と言われたとしても、隠し財産が疑われるようならしっかり相続財産の調査を行ってから協議に臨むようにしましょう。具体的には被相続人が口座を持っていそうな金融機関で預貯金の残高証明書や取引履歴の発行を受ける、法務局に登記事項証明書を発行してもらう、等の作業を行うことになります。
相続財産調査の詳しい方法についてはこちら>> →相続財産調査 | 弁護士法人リブラ共同法律事務所 相続サイト (hokkaido-libra-souzoku.com)
遺産分割は相続人全員で行われる必要があり、一部の相続人だけで行った遺産分割は無効となります。そのため、預金の相続手続を行う金融機関や不動産の相続登記を行う法務局では、戸籍謄本の提出を求めて誰が故人の法定相続人であるかを確定し、さらに、署名押印のある遺産分割協議書や印鑑証明書といった書面から相続人全員の同意が取れていることが確認できなければ、これらの手続きに応じません。
したがって、原則として後妻側で勝手に相続手続を完了させることはできず、たとえそれまで面識がなかったとしても、相続人調査のうえ前妻の子であるあなたにも連絡が来ることが通常です。もし何らかの書面に署名・押印を求められたら、まずは落ち着いて内容をよく確認するようにしましょう。
なお、この原則に対する例外として、被相続人が「財産を後妻にすべて相続させる」という内容の公正証書遺言を残していると、上述のような協議書なしで手続きが完了してしまうことがあります。遺言者の死亡後であれば、相続人は公証役場に必要書類を持参することで被相続人の公正証書遺言を検索してもらうことができますので、早めに確認するとよいでしょう。
相続財産には、預金や不動産といったプラスの財産だけではなく、借金のようなマイナスの財産も含まれます。もし、被相続人の財産を調べた結果マイナスの財産の方が多かった、というようなときには、相続放棄をすることで相続しないで済みます。
相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」という期間制限があります。つまり、被相続人の前妻の子については、被相続人本人や後妻らとの関係が希薄であることも多く、そのために被相続人の死亡をすぐに知らせてもらえないということがありますが、そのような場合は、死亡を知らされた時点からこの3か月のカウントがスタートします。死亡の知らせを受けたら、期限内に相続財産を調べて相続放棄をするか否か決めなければなりません。
もっとも、被相続人の前妻の子としては、生前の被相続人の生活状況を全く知らず、また死亡を知った後も財産の状況を知る手掛かりを得ることが困難だったということもあるでしょう。このように、被相続人の死亡を知らされて3か月経過していた後であっても、後妻側から遺産について知らされていなかった場合は、期間内に相続放棄できなかった「相当の理由」があったとして、家庭裁判所も例外的に相続放棄を認めることが多いです。
被相続人に先妻の子どもと後妻がいる場合の相続では、両者の感情的な対立からトラブルが生じやすい傾向にあります。また、大きな揉め事が起こらなくとも、両者間に面識のないことがほとんどであることから、「相続について直接話し合いをするのは気が重い…」というご相談をお受けすることもあります。
そこで、あなたが被相続人の前妻のお子様であれば、弁護士にご相談・依頼されることをお勧めいたします。弁護士にご依頼いただければ、相手方の反論も想定しながら協議を進めたり、協議での解決が難しくなっても調停・訴訟の場で法的根拠に基づいた主張や証拠収集をしていくことが出来ます。
また、相続トラブルを弁護士に依頼する大きなメリットとして、精神的な負担の軽減があります。協議・交渉段階から弁護士を代理人とすることで、弁護士が全ての連絡の窓口となることが出来ますので、普段付き合いのない相手に対しても言いたいことを主張しやすく、感情的に後引くことも少ないといえます。さらに、面倒で時間のかかる相続財産調査も代行することが出来ますし、相続手続全般について、ご不明点があればお気軽にお尋ねいただけます。
札幌市近郊にお住まいで、被相続人の後妻との相続トラブルにお悩みの方は、多数の相続問題を解決してきた弁護士法人リブラ共同法律事務所へぜひご相談ください。